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IS《インフィニット・ストラトス》‐砂色の想い‐
世界合同演習
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。しかも『デザート・ホーク』の包囲には2機しかついていないため、他の3機には6機を相手にすることになってしまっている。
 本来戦いとはよっぽどでない限りは数で決まる。それははるか昔から変わらない。条件次第では変わってくるが、奇襲奇策でもない限り揺るがない事実だ。先のアジア、米国勢を突破できたのは奇策の部類に入る。しかしそれを最初に見せてしまったせいでEU勢はそれに対する対策をしっかり整えていたのだ。
 撹乱が聞かない以上、格闘戦主体のイーリスは確実に包囲される。さらにその爆発力が抑えられれば速度重視の2機も包囲され動きが制限されていく。

「ふっ」

 そのイーリスに向かって頭上から巨大なブレードが振り下ろされた。360度全てに気を回しているイーリスはその攻撃に一瞬だけ反応が遅れる。回避が間に合わず両手に巨大なナイフを展開してそのブレードを辛うじて受け止めた。

「ああ!? ドイツのガキか!」

 実体剣とビーム刃の複合剣を振り下ろしてきたのは銀色の鉄仮面にも近い兜に肩の四角い大型アーマーが特徴的な漆黒の機体、シュバルツァ・ヴルツェル。搭乗者……パルティス・アシュレイ。

「パルティス・アシュレイです。確保させていただきます」

 パルティスは自身の纏うISの1,5倍ほどのブレードを軽々と振り回し、イーリスはナイフを右手のみに展開して左手のものを戻して拳を作る。

「やれるもんならやってみろってんだ!」

「Jagen(狩る)」

 2つのISが高速で動き出す。互いが交差する度に火花が散り、他のISが戦闘に参加できない。しかしすぐさま状況は変化する。いくら生粋の現役軍人であるパルティスと言えども相手も現役国家代表、条件は同じだ。となればISは基本的に稼働時間で決まる。既に国家代表まで上り詰めているイーリスにパルティスが勝てる道理は無い。
 パルティスのブレードを右手のナイフで受け流したイーリスの左拳が的確に腹部に突き刺さる。衝撃でパルティスが後ろに下がり距離が少しだけ開く。

「ぐ…」

「はっ! この程度で私とやりあおうってのか!」

「いえ、終わりです」

「あ? ちぃ!」

 パルティスの言葉の一瞬後にイーリスが機体を横に回避させる。今までイーリスの頭のあった場所にプラズマ砲の弾丸が轟音とともに通過した。

「『イェーガー』の狙撃か!」

「落とす」

 イーリスがデータに映し出された情報を見て悪態をつくが、そのイーリスに向かって再度パルティスがブレードで切りかかる。そしてパルティスが離れれば毎回違う方向からプラズマ弾が飛んでくる。パルティスがいなければ1km離れた空中でプラズマ収束狙撃砲を構えたロベルティーネ・シャルンホルストが操る『シュヴァルツェア・イェーガー』が見えただろう
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