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異世界からチートな常識人が来るそうですよ(タイトル詐欺)
第十話 箱庭の世界ほどチートがチートでなくなる世界はないと思う
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―――"サウザンドアイズ"白夜叉の座敷。



「うう、手厳しい。だが全く持ってその通りだ。実は東のフロアマスターである私に共同祭典の話を持ちかけてきたのも、様々な事情があってのことなのだ」

重々しく口を開こうとした白夜叉を、春日部耀がハッと気が付いたような仕草で制す。

「ちょっと待って。その話、まだ長くなる?」

「ん? んん、そうだな、短くとも後一時間はかかるかの?」

「それまずいかも。………黒ウサギたちに追いつかれるかも」

ハッとほかの問題児三人とジンも気が付く。一時間も悠長に"サウザンドアイズ"に留まっていれば、黒ウサギ達に見つかることは避けられないだろう。

今は黒ウサギ達と追いかけっこの最中なのだ。それに気が付いたジンは咄嗟に立ち上がり、

「白夜叉様、どうかこのまま、」

「ジン君、黙りなさい!」

「"銀鎖"!」

ガチンッ! と勢い良くジンの下顎が閉じる。飛鳥の支配する力が働いたのだろう。

ガキンッ! と勢い良くジンの体に銀色の鎖が巻き付く。証がギフトカードから取り出したものだ。

その隙を逃さず、十六夜が白夜叉を促す。

「白夜叉! 今すぐ北へ向かってくれ!」

「む、むう? 別に構わんが何か急用か? それに内容を聞かずに受諾して良いのか?」

「構わねえから早く! 事情は追々話すし―――何よりそのほうが面白い! 俺が保証する」

十六夜の言い分に白夜叉は瞳を丸くし、呵呵と哄笑を上げた。

「そうか、面白いか。いやいや、それは大事だ! 娯楽こそ我々神仏の生きる糧なのだからな。ジンには悪いが面白いならば仕方がないのう」

「………!?………!!?」

白夜叉の悪戯っぽい横顔に声にならない悲鳴を上げるジン。しかしもう何もかもが遅い。

白夜叉は両手を前に出し、パンパンと柏手を打つ。

「―――ふむ。これでよし、これでお望み通り、北側へ着いたぞ」

「「「「――――………は?」」」」

素っ頓狂な声を上げる四人。それもそのはずだろう。

北側までの980000というお馬鹿な数字を今の一瞬で――――?

………という疑問は一瞬で過ぎ去り、次の瞬間、四人は期待を胸に店外へ走りだした。






―――東と北の境界壁。


「見ィつけた―――のですよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

ズドォン!! と、ドップラー効果の効いた絶叫と共に爆撃のような着地。

その声に跳ねあがる一同。大声の主は我らが同志・黒ウサギである。

危機を感じ取った問題児たちの中で、真っ先に動いたのは十六夜と証だ。

「逃げるぞ!」

「おうよ!」

「逃がすか!」

「え、ちょっと」

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