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渦巻く滄海 紅き空 【上】
四十七 取り引き
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へ頭を下げる。

「大蛇丸の蛇だよ。どうやら貴方は彼の信頼に値しなかったらしい」
暫し愕然と、己の杖だった動物をダンゾウは見下ろした。
次第に募る苛立ちは、大蛇丸に裏切られたという事よりも、気がつかなかった自分自身に向けられる。身近、それも杖に変化させられていた蛇なんぞに監視されていたかと思うと虫唾が奔った。

「…そんなもの、こちらから願い下げだ」
懐から取り出したクナイで蛇を突き刺す。断末魔も上げず絶命した蛇を見下ろし、改めてダンゾウはナルトを見上げた。
認めたくはないが彼の指摘が無ければ大蛇丸に自身の手の内が隅々まで知られていたかもしれない。少しばかり折り合いをつける。

「…イタチの件だが、非常に難しい問題だ。奴が大罪人だという事は既に知れ渡っている。周知の事実を今更撤回出来はしない」
「だが上書きする事は出来る」
毅然とした声がダンゾウを否定する。そしてにこやかに「世界中に部下がいるんだろう」とナルトは言葉を続けた。

「噂を流すなど貴方なら造作も無い」
「罪人では無かったなどという噂で塗り潰せると?」
「人は思い込みで左右される。現実を動かすのは真実より思い込みだよ」

静かに苛烈する論争。押し黙ったダンゾウにナルトは畳み掛けた。


「大木を支えるはずの根が実は腐っていたと知ったら…里人は何と言うかな」


しん、と落ちる沈黙。うろたえる部下達の眼前でダンゾウの肩が震える。やがて顔を上げた彼の双眸には激しい怒りが込められていた。
「…何が言いたい?」
「頂点というものは民衆がいなければ成り立たない」
ダンゾウの怒気に曝されても物怖じ一つせず、ナルトは炎を指先に灯してみせた。青い光がチラつく。

「言い忘れていたが、こいつにはもう一つ習性があってな。一度焼いた紙媒体の種類も憶えていて、それと同じ種類全てに情報を転写出来る。たとえば火影室隣にある資料室。あそこにある巻物を以前燃やしていたとしたらどうする?」


木ノ葉病院。月光ハヤテの病室にて『地の書』を燃やしたナルト。
その理由は、またもや炎の習性に基づく。情報の次に焼失した物と同じ種類の物が他にもある場合、それら全てを遠隔操作で発火させる事が出来るのだ。この場合火影室傍の資料室にある数多の『地の書』。ナルトが一度指を鳴らせば、資料室にある『地の書』は一斉に燃え上がる。

その際、完全に燃え尽くす事も紙面に転写させる事も彼の思うがまま。

とは言え、仮に行うとすれば後者であろう。ダンゾウが大蛇丸と繋がっていたという驚愕的事実が、複数の忍びが行き交う資料室―それも火影室傍で発見されるのだ。つまりこの炎さえあればナルトは何時でもダンゾウの不正を白日の下に曝す事が出来る。
もっともそれは最終手段であり、ナルトは元より実行するつ
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