第八十三話 失われる闘志
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「それは」
万丈もその時のことを思い出して言う。
「君があの子のレプリジンによって」
「はい」
「命を落とした時だね」
「その時にです」
パピヨンは万丈の言葉に応えてさらに話してきた。
「地球から遠く離れた」
「この三重連太陽系にです」
「このコピーされた地球が」
「誕生した」
「そういうことなんですね」
「そうですですが」
このレプリカの地球のことをだ。パピヨンは話す。
「生体物質はかなり不安定でした」
「それはなんですか」
「不安定だったんですか」
「それで」
「私以外の複製された人達は全て消滅してしまいました」
そしてだった。
「オービットベースはです」
「えっ、それもあったんですか」
「オービットベースも」
「存在していたんですか」
「はい、ですが」
そのオービットベースがどうなったかも話される。
「それもまた」
「消えた!?」
「まさかと思うけれど」
「オービットベースも」
「軌道をそれ」
レプリカの地球のそれをというのだ。
「宇宙空間の闇の中で」
「そうなんですか」
「それでパピヨンさんは」
「ここまで」
「何とか逃れました」
そうだったというのである。
「けれどここにも人は存在していませんでした」
「その通りだな」
マリンが答えた。
「調べたが人は。それに」
「動植物も殆どいない」
「脊椎動物は何も」
「原始的な生物ばかりで」
「その数だっていないと言っても同じだし」
そうした星なのだった。
「昆虫も少ないよな」
「細菌はいても」
「生き物の匂いがしない?」
「そんな星だよな」
「それがここです」
そうだとだ。パピヨンの話は続く。
「けれど私は」
「どうしていたんだい?」
猿頭寺が恋人に優しい声で問う。
「君はここで一体どうして」
「自家発電の設備のあるここに」
彼等が今いる場所だというのだ。
「GGGのセンターにおいて」
「ここでか」
「生きていたんだ」
「そうして」
「そうです。何時か」
さらに話すパピヨンだった。
「助けが来ることを信じて」
「パピヨン・・・・・・」
「バスキューマシンはです」
パピヨンは今度はそれについて話してきた。
「物質復元装置の中枢回路です」
「そうだったな」
大河がその言葉に頷く。
「確かにな」
「それだけでは完全な復元はできません」
「じゃああんたもだな」
火麻がそのパピヨンに問う。
「完全じゃないんだな」
「その通りです。護君も」
「そうだったんだ。あの彼は」
スタリオンがそれを聞いて考える顔になった。
「完全ではなかった」
「その通りです」
「あれで完全でなかったとはね」
「いや、それはわかる」
実際に
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