第七十七話 バルマーの巫女
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か」
「今の戦いですが」
目の前で起こっているその戦いのことだった。
「彼等はあくまで」
「そうですね。戦っていますね」
「グラドスの市民の為に」
「それがわかりません」
今度はルリアが言った。
「彼等はです」
「敵ですね」
「紛れもなく」
こうアマルナに答えるルリアだった。
「しかしです。それでも」
「彼等はこうして」
「戦っています」
「何故なのか。それがです」
「アマルナ様もですね」
「はい、わかりません」
まさにそうだというのであった。
「少なくともバルマーでは考えられないことです」
「ましてグラドスです」
実はだ。ルリアにしてもグラドスが嫌いであった。
「バルマーの中でもとりわけ傲慢な者達だというのに」
「感謝するということが彼等にはありませんね」
「決してです」
こうアマルナにも言うのが何よりの証拠だった。
「それは有り得ません」
「しかし今こうして」
「どうやら彼等は」
ルリアは考えてだ。あることに気付いたのだった。
「私達にはないものを持っているようですね」
「私達にはないものを」
「それを見る必要があるのかも知れません」
そしてこう言うのだった。
「どうやら」
「では私達は」
「ここで見させてもらいましょう」
アマルナに対して告げた。
「それでどうでしょうか」
「はい」
アマルナもだった。考える顔でルリアの言葉に答えたのだった。
「それではです」
「そうされますね」
「それがいいと思います」
彼女も考えたうえで決めたのだった。
「ですから」
「はい、それでは」
「それでルリア」
ここでだ。アマルナは彼女に囁くのだった。
「あのボンボンは今は」
「とりあえず動きはないようです」
「そうなの」
「はい、それでも油断はできませんが」
こうアマルナに返すルリアだった。
「ハザル様は」
「あんなのに様付けしなくていいわ」
「しかし」
「いいのです」
あくまで言うアルマナだった。
「私が言っているのですから」
「左様ですか」
「あんないけ好かない男」
アルマナはさらに言う。
「どういうことはありません」
「しかしハザル殿も」
さりねがくアルマナを気遣ってこう言うのだった。
「変わられました」
「その様ですね。聞くところによると」
「かつて私はあの方のお傍にいました」
アルマナはこのことも話すのだった。
「その時はあの様な方ではなく」
「どういった者だったのですか?」
「朗らかで素直な方でした」
そうだったというのだ。あのハザルがだ。
「しかしそれがです」
「ああしてですか」
「歪んでしまわれました」
「今のあの男はです」
アルマナが話すのは今のハザルだった。
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