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外伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
NO.1、再び(2)
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クちゃんは顔を強張らせている。可哀想に、こってり絞られるわね……。でもこれも日頃の行いが悪いせいよ、これからは心を入れ替えて頑張るのね……。

これで終わりかな、これからは少しは変わるのかな、そう思った時だった。ヴァレンシュタイン少将の声が聞こえた。ちょっと不本意そうな声だ。
「どうも閣下は小官の懸念がお分かりではないようです」

『なんだと、何が分かっていないと言うのだ』
不機嫌そうなゼークト提督の顔に訝しげな表情が浮かんだ。提督だけじゃない、皆が不審そうな表情をしている。口パクちゃんもだ。一体何が分かっていないのだろう。

「先程も言いましたが申請書のミスはこれが最初ではありません、頻繁に起きています。補給担当士官が自分の任務である補給を満足にこなせない、おかしいとは思いませんか?」
『……』
確かにそうなのよね、粗忽にしてはちょっと多すぎる。

「しかも責任は兵站統括部に負わせることで駐留艦隊司令官の知らないところで補給がなされている。何故自ら申請書を起案しゼークト提督に決裁を取らないのでしょう」
『……何が言いたい』
低い声だ。もしかすると怒ってる? 口パクちゃんは? 口パクちゃんはキョトキョトして落ち着きが無い。何で?

「駐留艦隊に誤って送られた物資ですが、こちらには戻されていません。そちらできちんと保管されているのでしょうか? まさかとは思いますが横流し等の不正が行われているという事は……」
『馬鹿な、そんな事は……』

有り得ない、そう言いたかったんだと思うけど提督は口籠ってしまった。第三課の課員は皆顔を見合わせているし所々で頷く姿も有る。私も有り得る話だと思う。口パクちゃんは真っ青になっていた。あんた、その顔色は有罪よ!

「有ってはならないことだと小官も思います。しかし戦闘中に消費した事にすれば物資の数量を誤魔化すのはそれほど難しくは有りません」
提督が唸り声を上げて考え込んでいる。そしてヴァレンシュタイン少将が気遣うような口調で話しかけた。

「監察が入る前に一度提督の手で調査されたほうがよろしいでしょう。放置して監察が入った場合、不正が無ければ問題ありませんが、そうでなければ提督も責任を問われる事は間違いありません」
『部下の監督不行き届きか……』

忌々しそうな口調だった。口パクちゃんの運命は決まった、例え不正が無くてもイゼルローン駐留艦隊からは追放ね。スクリーンに映った口パクちゃんは首でも吊りそうな顔をしている。次は何処に行くのやら……、此処だったら精一杯可愛がってあげる。ヒールでガシガシ蹴りを入れてあげるわ、楽しみ。いまからヒールの先を磨いておかなきゃ。

「いえ、それだけではありません」
楽しい想像にうっとりしているとヴァレンシュタイン少将の声が聞こえた。言い辛そうな
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