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外伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
NO.1、再び(2)
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御話し中なんだから大人しく待ちなさいよ。礼儀知らずは怒られるわよ、受話音量を下げてあげるわ。口をパクパクさせている少将をみて思った、私ってホントに気がきく良い女よね。なんで恋人が居ないのかしら?

声が聞こえなくなったので不審に思ったのだろう、フィッツシモンズ大尉がこちらを振り返った。口をパクパクさせている少将を見て憐れむような表情をしている。そして私を見て一つ溜息を吐いた。何なのよ、それは! 本当に嫌な女ね!

「申請書通り物資を手配したのですが補給担当士官よりレーザー水爆ミサイルと囮ミサイルの数量が間違っていると叱責されました。早急に物資を送りなおせと」
『送りなおせばよかろう』
ゼークト提督は訝しげな表情をしている。多分何でそんなことで連絡してくるんだと思っているのだろう。

「こちらは申請書通り物資を送っています。間違っていたのは申請書そのものなのです。申請書を改めて提出して欲しいと言ったのですが忙しい、そちらでやれの一点張りです。レーザー水爆ミサイルの数が少ないと思わないのかと叱責され、無能扱いされました。しかし申請書にはゼークト提督のサインも有ります。それを疑えと言われましても……」
『……』

ゼークト提督は苦虫を潰した様な表情をしている。まあ無理もないわよね。補給の申請書は補給担当士官が起案し、艦隊司令官が決裁してから兵站統括部に送られてくる。おそらくゼークト提督は碌に内容を確認せずに申請書にサインしたのだろう。

ヴァレンシュタイン少将の言葉はそれを指摘している。カワイイ顔して意外に辛辣なんだから。ゼークト提督が渋い表情をしているのも半分はバツが悪いからだろう。数が少ないと思わないのかという非難はそのままゼークト提督にも跳ね返るのだ。

口パクちゃんが申請書を書きたがらないのも司令官の決裁が必要だからだ。補給の申請書が短期間に二回も来ればゼークト提督も妙だと思うだろう。前回発注ミスが有ったと分かれば当然叱責される。誰だって怒られたくは無い、だからこちらに責任を被せようとする。

私の目の前のスクリーンでは口パクが酷くなった。酸素不足の魚みたいだ。“もう少しお待ちくださいね”とにっこり笑って小声で囁く。ああ、なんて快感なのかしら。こんな快感、エッチしたって味わえない。ヴァレンシュタイン少将、少将は最高です。貴方以上の男性はいません。私を最高の気分にさせてくれる。

「それに申請書の誤りは今回が初めてではないようです。頻繁に誤っているようですし、閣下に知られないようにその責めを常にこちらに押し付けています」
『……分かった、申請書は出しなおさせる。早急に輸送の手配を頼む』

不機嫌そうな表情、面倒くさそうな口調、早く終わらせたい気持ちが見え見えだ。多分補給担当者を呼びつけて叱りつけて終わりだろう。口パ
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