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外伝 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
NO.1、再び(2)
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副官は応接室に入らなかった。フイッツシモンズ大尉が相手をしている。楽しそうだな、羨ましい、というかズルい。

なんで彼女ばかり良い男が傍にいるのよ。やっぱり偉い人、将来有望な人の傍にいないと駄目なんだ。傍に居ればその人の友人とか知り合いと親しくなるチャンスが有るんだから。少将、お願いです、私も傍においてください。

少将達の話し合いは三十分程で終わった。ミューゼル中将達が帰った後、少将とフイッツシモンズ大尉が話をしていた。少将は軽く苦笑を浮かべていたけど大尉は釈然としない様子だった。一体何を話してたんだろう。

少将が兵站統括部に来てから一週間が経っていた。兵站統括部第三局第一課はこれまでになく活気に満ちている。イゼルローン要塞への補給物資の手配などで忙しいのだが、皆それを苦にすることなく業務に励んでいる。やっぱり職場に華が有ると違うわよね。見てるだけで心が洗われる気分よ。それに少将のおかげで今はとても仕事がし易くなっている。

ヴァレンシュタイン少将の仕事は二つある。一つはディーケン課長の下へ行く書類の事前審査だ。私達が作成した書類は先ずヴァレンシュタイン少将の下に行く。少将は書類を審査し三つに分類している。一つ目は何の問題も無い書類。二つ目は少将では判断できない物、これにはその理由を記したメモを添えてある。三つ目は明らかにミスが有る物……。

一つ目と二つ目はディーケン課長の下に行く。一つ目については課長がサインをして終了。二つ目については課長が判断理由をヴァレンシュタイン少将に説明する。問題無ければサインをしてくれるがそうでなければディーケン課長は書類を私達につき返してくる。三つ目についてはヴァレンシュタイン少将がおかしな点をメモに記して私達に返却する。

フィッツシモンズ大尉は審査の過程で少将が疑問に感じた点の確認をしている。過去、どのように処理しているか? 本来であればどのように処理すべきなのか? 軍の規程などを調べ少将に報告している。書類の量が多いから結構大変そうだ。補給業務に精通させるとともに管理する能力を付けさせようとしているのだろうと皆で噂している。ただのお飾りにするつもりは無いらしい、当然よね。

少将のもう一つの仕事はクレーム対応だ。兵站統括部第三局第一課は補給業務を扱う部署だけど時折その補給業務についてクレームをつけてくる人間がいる。“補給が遅い”、“こちらが要請した物と違う”、“数量が合っていない”等……。大体が向こうの発注ミスなのだ、こちらの責任ではない。

それでも連中はこちらに責任を押し付けようとする。何と言っても兵站統括部は落ちこぼれの集まりだし立場が弱い。そして実戦経験が無いから相手はそれを責めてくる。“所詮後方で仕事をしている人間には実戦の厳しさは分からないだろう、ぐだぐだ言わないでさっさ
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