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Fate/stay night -the last fencer-
第一部
運命の夜の先へ
一日の終わり
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握できるだろ」
「ゆっくり行ってよ? 記憶力に乏しいわけじゃないけど、一度走っただけじゃ覚えきれないと思う」
「ああ。のんびり新都をまわろうや」

 彼女がしっかり乗ったのを確認し、ハンドルを捻る。
 動き出した車体の運動に負けないように、フェンサーが腰に回した手に力を込め、キュッとしがみつく。

(はぅあ……っ!? そうか、考えてなかったけど、フェンサーを後ろに乗っけるってことは…………!)

 背中にふよん、とした幸せな感触が二つ。

 何の心構えもしていなかったため、背中に全神経が集中してしまう。
 フェンサーはそんなことを知る由もないだろう。別段意識することも無く、軽く抱きついているに過ぎないのだから。

 つまり、問題があるのは不純な事を考えている俺自身です。

(変に意識するな、強く意識するな。頭で考えるな、感じろ……違う違う、感じるんじゃない!)

 まさか自分の主が心の中でパニくっているなど思わないだろう。

 そんなことを考えながら、新都を周りきるまでの三時間弱。

 走り出すたび、停車するたびに、体勢を固定しようとするフェンサーが押し付けてくる、ふよふよと形を変えるメロンを背中に感じながら、俺は自分との死闘を繰り広げるのだった。















(はあ。人間って慣れるモンなんだな)

 新都を巡り、深山町まで戻ってきた。

 人間の脳ってのは偉大なもので、さすがに三時間も触れ続けていれば適応する。
 最初の一時間足らずはそれこそ気が気ではなかったが、しばらくすれば気にならなくなったため、快適なドライビングを楽しむことができた。

 ゆったりとバイクを走らせながら、新都を周回すること三回。
 何処に何があるか、何処と何処が繋がっていて、何処が戦場に適しているか。

 マスターやサーヴァントの探知も行ったが、やはり昼間とあっては収穫は無きに等しい。
 日中は一般人が多いというのもあるが、一個人が隠れ蓑とするのに有用な場所が少ない。
 逆に適切な隠れ家を見つけたとして、そこが目立たないからこそ目立つ場所になっていては無意味だ。

 まあ引っかかってくれればラッキー程度の心持ちだったので、特に悲観することでもない。

 昼間からほとんど乗りっぱなしなので、冷風に晒されていた体は冷え切っている。
 このまま深山町を回るのもしんどいかなーと思いつつ、スーパーの近くを通りがかった。

「そうだ、食材買いに行こう」
「買い物? じゃ、私はどうしてればいい?」
「好きにしていいけど……バイクで待ってるなり、付いてくるなり」
「それじゃあ付いて行くわ。待ってるのは退屈だもの」
「なら、一度店周りをぐるっと一周するから、タイミ
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