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Muv-Luv Alternative~一人のリンクス~
横浜基地
仲間
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れ、俺は一歩後ろに後ずさってしまう。それと同時に安心してしまった。…ああ、見られたのがこいつで良かったのかもしれない、と。

「…そりゃ最初地面に転んだ時は馬鹿にしてやろうなんて思ったわよ。でも…その後のあんたは本気だった。本気でBETAと戦ってた。どうしてそんな人間を笑えんのよ」

「…」

「あんた何か訳ありなんでしょ?戦術機もまともに乗れない人間がうちの部隊に入る訳がない」

 正直全てを速瀬に言ってしまおうかと思ってしまった。

 だがそれは駄目だ。俺の事は誰にでも言ってしまっていい事ではない。

 速瀬は恐らく俺の話をまじめに聞いてくれるだろう。そして違う世界から来た、なんて言う馬鹿みたいな話を信じてくれるだろう。確証はないが、そう思える。そして俺も速瀬に話す事によって、気が楽になると思う。

 だが駄目だ。それは俺が楽になるために逃げでしかない。そして俺の事を誰かに話す、と言う事はそれだけそいつを危険に晒すこと他ならない。

 よって俺は何も速瀬に喋る事が出来ない。

「言う事は出来ない…ってやつね。相当なもん抱え込んでんのねあんたは」

「…すまない」

 今俺が言えるのは謝罪の言葉だけ。

「何謝ってんのよ。私はそんな言葉を聞きたい訳じゃないんだけど?」

「…?」

 なら何を言って欲しいんだ?少し頭を回転させ思考に嵌まるが、その答えが出る事はなかった。

 そんな様子の俺に呆れたのか速瀬は大きくため息を付くと、俺に近寄り、顔も寄せてきた。そして俺の胸元を指で突きながらこう言った。

「私達を頼んなさいよ!同じ部隊の"仲間"でしょ!?」

「ッ!?」

 その言葉に俺は何も言えなくなった。

 既に互いの息が掛かりそうな程近くにある顔。そして真っ直ぐに交わる視線。俺は速瀬の深く綺麗な色をした瞳から視線を外す事が出来なかった。まるで溺れてしまったかのような感覚。その初めて感じる感覚に戸惑いを覚えるが、不思議を心地よいものだった。

「あんたの過去に何があったのかは知らない。でもね、あんたは一人じゃない。私達がいるの。部隊の仲間ってのは只一緒に戦うだけじゃない。そういった所でも支えあわないと駄目なのよ。分かる?」

「…あぁ」

「なら今度から頼りなさい。他のメンバーにいいずらかったら私にでもいいから、一人でどうにかしようなんて思わないで頼りなさい。それが一番早く解決出来るし、あんたも馴染めるでしょ?一石二鳥で最高じゃない!」

「っふ…その通りだ」

「な、なに笑ってんのよ!こっちはまじめに話してんのよ!?」

 俺が笑ったことを癪に感じたのか、速瀬は俺の胸倉を掴み、揺さぶってきた。

「お、落ち着け!決して馬鹿にした訳じゃない!」


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