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過去の友人
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られないぜ。それに、今行っている実験が成功すればお前を起こした後、俺はお前を思いのままに出来る」

 そう言うとユキは驚愕の表情を浮かべて、顔を上げる。その表情を見た玖珂は、ユキの顎に手をやってから顔を近づけて覗き込むように見る。

「やっぱり、お前の驚いたり恐怖の顔になるのを見ていると興奮してくるよ。もっとしてくれよ」

 ユキは顎にある手を払って端っこに逃げる。

「やめて!」

「はあ。まったく面白くないな」

 そう言ってベットに寝転がる。すると玖珂は何かいいおもちゃを見つけた、または面白いことを思い出したような顔をして身体を起こしてユキの方を見た。

「今日な、お前の病室で彼に会ったんだ。面白かったよー、彼の顔。すごく愉快な気分になれたよ」

「彼って誰?キリト君?」

 ユキはそう言うと玖珂は首を振ってからおもむろに焦らしてくる。そしてようやく話した。

「彼って言うのはね、もう一人の英雄のゲツガっていうやつだよ。いやー、ホントあいつは面白かった。君の身体に触れた時の顔なんて超傑作だったよ」

 そう言って足をじたばたさせながら笑う。そして、笑うのが苦しくなったのかひーひーと息をしていた。ユキはそれを聞いて思考が一瞬止まった。

『ゲツガ君は……やっぱり生きている……』

 あの時、自分を犠牲にしてまでクリアに導いた男。ゲツガは茅場晶彦を倒したものの自分のHPがなくなって死んだ。しかし、ユキは生きていることを信じていた。しかも、自分の居場所を調べて見舞いにも来ていてくれていたこと。

「ゲツガ君を馬鹿にしないで。あなたのような男とはちがって優しいの」

「何を言ってるんだ?どうせ、あんな小僧にどうこうできる権力も財力も行動力もない」

「そんなこと無い!!」

 ユキは反論して声を張り上げるがそれを玖珂は笑い飛ばす。

「だから、あんなクソガキがここのことを気付くことがあってもここに来ることは不可能。警察に言ってもそのことを金でモミけしゃ問題ない」

 そして玖珂は立ち上がり、扉の方に向かって歩き出す。

「まあ、せいぜい今ある自尊心で堪えてみな。ま、どうせ、もうすぐでその自尊心もなくなるから意味無いけどな」

 そして、壁にあるパネル何処からか取り出したカードに読込み機にスライドすると扉が開く。

「また来るよ。その時は、俺をいい加減認めろ」

 そう言って外に出て行く。その後ゆっくりと扉が閉まり、大きな音をたてた。

「ゲツガ君……絶対に助けに来て……」

 ユキは両手を合わせて彼が助けてくれることを祈った。
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