第十八話 プールその九
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「スイミングスクールにも通ってたの」
「へえ、本格的ね」
「でしょ?それで泳げるの」
「クロールとか出来るの」
「バタフライもね」
それもだというのだ。
「一番得意なのは平泳ぎだけれど」
「あれがなのね」
「一通りできるわ」
「じゃあ結構本格派ね」
「あまり速くないけれどね」
だがそれでもだというのだ。
「泳げるから」
「そうなのね」
「琴乃ちゃんはどうなの?」
「私も泳げるわよ」
それもいけるというのだ。
「スイミングスクールは通ってないけれどね」
「泳げるのね」
「そう、泳げるから
大丈夫だというのだ。
「ただ。背泳ぎは苦手なの」
「どうしてなの?」
「ターンが難しいじゃない」
仰向けに泳ぐので前を見難い、それでである。
「だからね」
「背泳ぎは苦手なのね」
「あれどうしてターンすればいいのかしら」
「コツがあるのよ」
里香はスイミングスクールで教えてもらったことから話した。
「背泳ぎのターンもね」
「コツ?」
「そう、それがあるの」
「そうだったの」
「ちょっと口では言いにくいけれど」
だがそれでもだというのだ。
「実際にその場にいたら出来るから」
「教えてくれる?それなら」
「ええ、それじゃあね」
里香は琴乃のその言葉に微笑んで返した、そうした話をしてからだった。
二人は実際に体育のプールの授業の時に共にいた、里香は水泳帽を被った状態で同じく水泳帽の琴乃の前で背泳ぎをしてみせた、丁度そのターンが出来る場所でだ。
「こうするの」
「あっ」
手がプールの端に着く前、上から見えたところでだった。
里香はバク転の要領で足を一旦前に出して壁を蹴った、それからだった。
水中で身体を捻って仰向けの体勢になり両足で跳ぶ、そうしてターンをしてみせた。
琴乃はそのターンを見てこう言った。
「そうするのね」
「うん、そうなの」
里香はターンを終えてからプールの上に立って述べた。
「こういう感じでね」
「成程、バク転の要領で水中で身体を捻って」
「それでこうするの」
「そうすればいいのね」
「ええ、ただね」
それでもだと。ここでまた言う里香だった。
「問題はタイミングで」
「それが一番難しいわよね」
「プールの中で目印を見つけてね」
「あっ、あれとかよね」
琴乃はプールの上を見た、二人が今授業を受けているプールは室内の温水プールだ。その天井から三角の旗が並んでいるのが見えた。
その旗を見上げて言うのだった。
「旗とか」
「あの旗も目的はね」
「背泳ぎの為の目印なのね」
「そう、だからあれが見えたら」
それでだというのだ。
「ターンすればいいから」
「そういうことなのね」
「そうなの。そうすればいいから
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