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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第九十五話 揺らめき
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の内容は哀れとしか言いようが無かった。訊くべきではなかったと後悔した。

「……ブラウンシュバイク公から卿に伝えてくれと言われた事がある」
「……」
「銀河連邦の終焉と帝国の成立、ブラウンシュバイク公も読んだそうだ。卿の事を知りたくて読んだと言っていたな」

ヴァレンシュタインがこちらを面白いものを見つけた様な表情で見ている。ようやく表情に反応がでた。
「あれを読んだのですか。帝国貴族、女帝夫君たるブラウンシュバイク公の読む本ではないでしょうに……」
「……」

「あれはルドルフ大帝の事を巧妙に非難しているんです。そして現状の帝国の統治体制をさりげなく批判している。面白かったですよ、内容そのものは当たり前のことを書いているだけですが、こういう書き方、読ませ方もあるのかと思いました」
上機嫌だ、ココアを飲みながら笑みを浮かべている。

「公が言っていた。現状の統治体制は終わらせると……。しかし帝国の終焉にはさせないと」
ヴァレンシュタインが僅かに目を見張った。そしてクスッと笑いを漏らした。
「……なるほど、改革を実施しますか。しかし上手く行くかどうか……。貴族達は武力を持っています、場合によっては内乱になりますよ」
「……」

「帝国が動きますか……、となると同盟も動くことになるでしょうね。一波わずかに動いて万波随うか、さてどうなるのか……」
そう言うとヴァレンシュタインはココアを一口飲んだ。確かにヴァレンシュタインの言う通りだ、これからの宇宙は全てが激しく動くだろう……。



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