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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第九十五話 揺らめき
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に達し無い人間に対しては税の徴収を禁止する。それと税が徴収できない低所得者が或る一定の割合を越える貴族領についてはその施政権を停止し一時的に政府の直轄領とする』
「……」
かなり厳しい……、貴族達の反発は必至だろう。

『また裁判については貴族領の平民達にも帝国政府への控訴権を認める。先ずはそんなところだな』
「……」
つまり貴族達が恣意的に領民達を処罰するのを規制するということか。税と裁判、どちらも統治の根源に関わる。これを制限するという事は貴族の権力の縮小以外の何物でも無い。

『来年一月から実施する予定だ。改革はそれで終わりではない、それ以降も順次進めて行く。その分については今改革派の者達に案を練らせている。これでなんとか平民達に希望を与える事が出来るだろう、平民達も希望が有るうちは暴発などはするまい』
「……それはそうですが」

『卿は不満かな』
ブラウンシュバイク公が覗き込むようにこちらを見ている。はて、不満だろうか? 今でも領地を離れ経営など他人任せの状態だ。構わぬと言えば構わぬ。だが問題は……。
「……私は構いませぬが他の貴族達の反発を呼びましょう。上手く行きましょうか?」
思わず恐る恐ると言った口調になった。

『上手く行かせる、不満を言うものは切り捨てる』
「……」
『手をこまねいていれば座して死を待つ事になろう。帝国が生き残るためには不要なものを切り捨て、変わらねばならんのだ』
ゆっくりとした口調だった。自らに言い聞かせる様な口調だ。貴族を切り捨てるという事か……、ルドルフの負の遺産……。ブラウンシュバイク公はヴァレンシュタインと同じ事を言っている。

「……ルドルフ・フォン・ゴールデンバウム体制の終焉……」
『……何と言った、レムシャイド伯』
気が付けば呟いていたようだ。
「あ、いえ……」
『如何した』
「……ヴァレンシュタインが言っておりましたな。この後、帝国ではルドルフ大帝の造った政治体制が終焉するだろうと……」

叱責されると思った。しかしブラウンシュバイク公は何か意表を突かれたような表情で私を見ている、止むを得ず言葉を続けた。
「彼の考えでは五十年程前からルドルフ大帝の作った政治体制の終焉が始まっているそうです。貴族を中心とした……」
『そうか、そうだな、あの男ならそう言うだろうな』
「……」
話を遮られた。妙な話だ、公は一人納得している。私が何を言おうとしたのか分かると言うのだろうか?

『銀河連邦の終焉と帝国の成立という本が有る。二十年ほど前にフェザーンで書かれた本だ』
「……それが何か」
『その本を読んで思った、役に立たぬ貴族など滅ぼしてしまえと……』
「!」

呆然としてスクリーンを見るとブラウンシュバイク公が可笑しそうに笑い出した。
『ヴァ
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