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SAO編−白百合の刃−
SAO32-白百合の決意、雪音の勇気
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そんな恐怖が耐え切ることなんてできなかった。
 それでも、歯を食いしばっても我慢しながら、剣を抜き、振るわなければ、結弦さんが与えてくれた居場所へ帰れることなんてできない。それと、私を救ってくれた結弦さんに恩返しをしていないまま死にたくはなかった。
 どんなに辛くても恐くても、泣きだしそうになっても私はなんとか前に進んで行った。茅場晶彦が現実世界へ帰る方法である、百層のボスを倒すこと以外の隠しボスを探しつつ少しずつ現実世界へ戻るようにと、さまざまな困難に打ち勝ってきた。

 それで手に入られるものは、けして隅っこで独りになって時が解決する選択が間違いだったと、今の私ならそう言えるだろう。

 だって、恐くて独りで辛いと泣き出してしまったものの、それ以上に希望に溢れる大切な温かさに私は触れたのだから。
 


「そっか……結弦さんのために、戦うことを選んだんだ」

 私は自分の一部のことを聞いたキリカは悲しそうな顔をしていた。
 なんでキリカがそんな顔をしているのかを考えてみると…………私の辛かった過去を聞いてしまったからなんだろう。とてもじゃないが、私の過去は人に話すようなものではない。話したらキリカみたいに悲しい顔になることは、分かり切っているからだ。
 それでも私はキリカに知ってほしかった。

「じゃあ、ドウセツは結弦さんのためにゲームクリア目指して頑張ろうね」

 キリカなら笑顔で前に進んでくれると、思っていたから。

「……ねぇ、キリカ」
「ん?」
「私を必要としてくれるのは……とても嬉しい」
「うん」
「貴女の手に触れて、私は救われた」

 私は弱虫で臆病でどうしようもない存在だから、キリカみたいに引っ張ってくれる人がいてくれるだけでいろいろと救われた気がした。キリカと出会わなければ……何かが変わっていたことは明確だ。

「それは……お互いさま、かな。私もドウセツに会わなければ、後悔の念にいつまでも憑かれて……ドウセツに助けられなかったら、今頃取り返しのつかない後悔を抱えたまま、死んでいたと思うんだ」

 あの時のキリカ、『白の死神』とも呼ばれている彼女は…………結弦さんに助けられる前の私と似て異なっていた。
 恐怖に怯え、自分という存在が許されず、助けての一言がいえずに、誰かを救おうと自暴自棄になりながらも前に行動していた。例えそれが自分自身の崩壊へと招き、時が経過しても解決できないとしても、誰かを助けたい気持ちは本物だった。あの時の私と違って、誰かのために前に進んでいた。
 それが羨ましくて、でも過去の自分を見ているようでイラついてしまい、それでも助けたいと思った私は『白の死神』を助けた。

「そういうことなら、私とキリカは二人で一緒にいるべきだと私は思う。だから、本当は貴女
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