SAO編−白百合の刃−
SAO32-白百合の決意、雪音の勇気
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ともなかった、抱えている恐怖を打ち明けてしまった。
『私には施設と呼ばれる場所を居場所だと思えないんです。何故だかわかりませんが、施設の人達を家族として認識することに違和感があって、共に生活している皆でさえ馴染めることができませんでした。誰にも触れてほしくないから、触れてこないように拒み続けたんです。そんな風に生きてきたから私は独り取り残され、どこにいても独りでいることが多くなってしまいました。友達の作り方がわからないし、人との触れ合いがわからない。私は駄目だから、何やっても駄目な人だから、相手になにかすることなんて、できやしないんです。だって、私には何もない。何もないのに、相手のためになにができますか? 何もできない、ただの迷惑をかけるだけ駄目な存在なんです。そしてみんなを気分悪くさせ、みんなを怒らせる駄目な奴って言われているのも当然でした。学校に行っても独り、帰る場所も独り、施設にいても皆の迷惑にかける、自分には何もない。弱虫で、泣き虫で、臆病で、運動も勉強も駄目、暗くて地味で何もできない、わけもわからない恐怖に恐れているような存在。そんな自分が嫌いで嫌いで消えてなくなりたい。でも、消えたくない。誰かに助けてほしいさえ思ってしまう。そんなことできないこともわかっているくせに、これからのこともよくわからないのに施設から逃げ出すような私が幸せを夢見てしまう。それが私なんです……誰にも理解されない、生きていること全てが恐怖なんです。いっその事、全部が全部楽になれたら……どんなに幸せなんでしょうか。私は……なんで生きているのですか……』
こんなこと誰かに話したところで誰にも理解されない。だって、普通は恐い人が恐いのに対して、私は誰であろうと恐いと思ってしまうような存在。こんなこと言ったところで困らせるだけなのに……やっぱり、言わなければよかったと思った。拒むのではなく、逃げるべきだったと後悔した。
『そっか……』
当時、どんな顔をしているのかが恐くて目を逸らしていた。そしてそのまま逃げようとも考えた。
でもそれは、結弦さんが私の頭に手を当て、撫でてくれるまでだった。
『無理にいろいろと頑張ったちゃったのね……』
不意に人の温もりに触れた私は、自分の意志なんて関係なく、誰にも見せなかった涙を流してしまった。
『だから、もう頑張んなくていいんだよ』
そしてその言葉がとどめだった。その言葉のせいで私は感情に身をまかせるしか自分を保てなかった。
『恐いよ……恐いよぉ……っ』
恐かった。
とても……恐かった。
人が恐かった。
私をいじめてくる人が恐かった。
私を見る目が恐かった。
私を触れようとする手が恐かった。
私を助けようとする人が恐かった。
なんで私には母や父
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