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SAO編−白百合の刃−
SAO32-白百合の決意、雪音の勇気
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 だけど消えたくない。
 誰かに助けてほしいけど、誰かに助けることが恐怖だと感じる矛盾。
 そんなぐちゃぐちゃに混ざり合った、恐怖がより一層濃いものを感じ取ってしまった私は目的もない道を無我夢中に走る。自分の体力が切れてたどり着いた場所はどこにでもあるような公園。だけど私の知らない公園。暗闇に一つの街灯が物寂しそうに照らされている公園。
 その時の私は公園も私と同様に独りぼっちなんだと、一つの街灯が命のようのに、ぽつりとただあるだけだと、勝手に同類認識をしていた。バカでもわかる話だ。公園と人は違う。同類を求めていたのは寂しい想いを埋めたかった共感。
 そんなこともわからず、私は街灯の側にあるベンチで休憩するのではなく、灯りから一番離れているベンチで休憩をした。理由をあげるのなら、そっちの方が落ち着くのとしか言えない。一応帰る場所から逃げたところで誰にも理解されない私が変われるはずがなかった。ずっと誰にも理解されず、独りぼっちなんだろうと……思っていた。
 一人の女性が、灯りから一番離れている暗いベンチにいる私を見つけてくれるまでは。

『悩んだら相談。かっこ悪いと思っても気分がスッキリするよ』

 私を見つけてくれた人は『高道結弦(たかみちゆづる)』と言い、落ち着いていて優しく完璧そうに見えて、たまに子供っぽくお茶目で変わった女の人だった。初対面で、しかも他人に対して第一声が相談しろとか言ってくるのだから、最初は幻聴だと思ってしまった。
 当然、私は彼女に敵意を表し警戒をした。初対面で相談しろと言う変わった人に抱えていた恐怖を相談できるはずがなかった。
 
『何を企んでいるんですか? 私のことなど構わずに放っておいてください』

 そもそも私は誰に対しても自分が抱えている恐怖を誰かに打ち明けることなどできなかった。それをすること自体が恐怖であり、特に結弦さんは何を考えている人かわからない変わった人だから、尚更打ち明けるのが恐かった。
 だけど、結弦さんは私の警戒も敵意も私の都合も無視して、私に近づき「そんなに恐がらなくてもいいよ」と、優しく語りかけてくれた。
 本当に恐かったの。人と人が触れる温かいものが私にとっては恐怖だった。誰かに触られるのが恐くて仕方なかった。だから結弦さんみたいに私のことを思って温もりを与えようと触れてくる人を拒み続けた。
 でも、結弦さんが触れようとしてくる温もりを拒むことはできなかった。
 いや、そうじゃなかった。既に結弦さんは私の抱えている恐怖を見抜いていた気がする。証拠というものはないけど、結弦さんは今までの人とは違っていた。
 だから、私は結弦さんは予想外の人に分類されているから、拒むことを怯んでしまったのかもしれない。
 そして私は特に警戒と敵意していた結弦さんに、誰も話したこ
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