SAO編−白百合の刃−
SAO32-白百合の決意、雪音の勇気
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る人も現れた。
痛かった。とても痛い思いをした。これだけはどんなに忘れたくてもハッキリと覚えている。避けられる原因は私であることはわかっているのに、疑問に思ってしまい、苦しかった。体に蹴られることも殴られる原因は私にあることをわかっていたのに、痛くて痛くて、泣きそうになった。なによりも私をいじめてくる人と避ける人が恐かった。本気で殺されてしまうのではないかと怯えてしまい、恐怖に呑み込まれてしまった。
それでも、痛くても苦しくても、私は誰かに助けを呼ぶことはしなかった。誰かにすがりつかずに、私は自分だけで解決しようとした。痛かったら痛みが治まるまで耐える。苦しかったら落ち着くまで耐える。それでも涙が出るのであれば、独りで泣いたほうがいい。
だって私は“そういう”人間だから、誰かに助けを求める方法が恐怖だと思っていたどうしようもない存在。独りでなんとか耐えようとしていた、愚かなでバカな存在。
そんな駄目でバカな私を見過ごさない人もいた。けど、その人の接し方もわからない私は不器用にその手を振り払ってしまった。「助けて」の一言を言えば、救われたはずなのに私はそれを拒んだ。
でもね、それはしょうがないと思ってしまうのね。自分になんの価値もないから、誰かの助けを拒んでしまう。私なんかよりも、もっと価値のある人に助けを求めてほしい……なんて思えれば、何かが変わったのかしらね。
いや、無理な話ね。いつのまにか独り取り残された感覚で生きてきた私は、なによりも人との接し方も恐くて仕方がなかった。誰にも理解されない私の恐怖が、誰かにわかるはずもなく、私もそのことを話すことはなく、私という存在自体はどこにいても独りだった。
私が悪いことはわかっていた。いや、そんなこともわからなかったかもしれない。そんなバカでどうしようもない私は、改善する方法を取らず、誰かに愛されたいと、戯言のような願望を何度も抱いていた。
本当にバカで愚かで救いようがないわね。でも、そんなことすらわからなかったのよ。仕方ないじゃない。
前に踏み出して「助けて」の一言さえもわからない私が、まともなことができないはずがないのよ。
どこにても私は独り、ずっと独りぼっちで恐怖に耐え抜いたまま時が流れていく。いっその事、消えて無くなりたいと何度も思いながら、それに実行できずにいたまま自分にとっての転機が訪れた。
ある日の深夜、私は前触れなしに施設から逃げ出した。
前から決めていたことではなかった。その日の夜、ただ遠くに行きたくて、誰かに見られない自分だけの居場所を探すように、そして先の見えない迷路の中で真っ暗な出口を探すように施設から逃げ出した。
自分には何もない。
自分は孤独。
それ以外が恐怖。
自分が存在する意味がない。
消えたい。
楽になりたい。
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