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【完結】剣製の魔法少女戦記
第二章 A's編
第三十話      『デバイス起動』
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「…先生、シホさんの容態は…?」

私は皆に聞こえないように離れた場所で医師にシホさんの容態を聞いていた。

「…それが、非常に危険な状態です。
様々な打撲と切り傷が目立ち一番酷いのは脇腹ですね。
なまじ白い肌ですからそこだけまるで濃い絵の具を塗られたみたいに青く、そしてひどく腫れあがっています。調べてみたところ、肋骨が数本折れて内臓にまで達していまして…。
それに私達は実際には見ていませんがそこから剣が幾重にも突き出していたと聞きます。
今はもう無くなっていますが映像を見たときは私達も我が目を疑いました。
魔術回路の暴走と聞きますが…いや、彼女の世界の魔術師達は全員そういった自身の属性にあったなにかしらの暴走の危険を孕みながらも魔術を行使していると聞きますからシビアとしかいえません…」
「ええ。そこは私も異論ありません…」
「でしょう? …さて、話が脱線しましたが他に魔力ダメージに関してもそうです。
彼女はバリアジャケットを纏わないで戦闘をしていたそうで、それで本来軽いものも直に体に受けていたから何かの特殊な服装で緩和させていたようですが相当なものでしょう。
そしてもっとも最悪なのは、最後に受けたという魔法の傷です。あれは非殺傷設定などされていませんでした。あきらかに殺す目的があったと言わざるをえません。
両手両足に深々と突き刺さっていたらしく治療魔法でなんとか塞ぎましたが…当分は目を覚ましても満足に動くのは不可能かと…」
「そうですか…。いえ、ありがとうございます。引き続き治療をお願いします…」
「全力を尽くしてみます」

医師は報告をしてまた治療室の中に入っていった。
私は一瞬中が見えてしまい思わず口をおさえて涙を流した。
治療室の中のシホさんは体中に包帯を巻かれ、それでも血が滲んでいて口にはめられている酸素マスクでも見て分かるくらい荒い息遣いをしている痛々しい姿を垣間見てしまったからだ。

ふと、気づくとクロノ、なのはさん、フェイトさんが遅れて治療室の前にやってきていた。
なのはさんはフィアットさんに抱きついて一緒に涙を流して、フェイトさんもアルフさんに抱きしめられた途端、声を殺して涙を流している。
まだこの子達にはこんな場面には直面して欲しくなかった。
クロノですらやりきれない気持ちからか壁に拳を叩きつけている。
だけどいつまでもこのままではいけないと思い私は皆に声をかけた。

「皆さん、お気持ちは分かりますが今は静かに、シホさんの回復を祈りましょう…」

それで皆さんはどうにか泣き止みましたけど、一向に重苦しい空気は消えません。
それにあんなシホさんのスプラッターな光景を見たのだから当然ね。
なにか話でみんなの気を紛らわさないといけません。

「ねぇ、クロノ。シホさんの首
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