第二部
第三章 〜群雄割拠〜
百六 〜白蓮の決断〜
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ならば、素直に出世と喜ぶべきであろう。
「それで、どう答えたのだ?」
「私を買っていただけるのは光栄至極、でもそんな資格も実力もないと辞退申し上げたよ」
「……だが、陛下は譲ろうとなさらなかったのだな?」
「その通りさ。私以外に任せられる者がいない、これはたっての勅命だってな」
「陛下も、必死のようだな」
「それはわかるさ。けど、どうして私なんだ? もう私は歳三についていくって決めた矢先だぞ?」
恐らく、陛下はその事を知るまい。
……いや、知っていたとしても同じ命を下したやも知れぬな。
月は全ての職を返上し、私の娘として生きたいと既に言上していた。
陛下も月とは昵懇の間柄、それを無碍に出来なかったようだ。
「交州行きの事は申し上げたのか?」
「当然さ。でも、お許しいただけなかったのさ」
「……なるほどな。それで、酒か」
「ああ、そうさ。けど、いくら呑んでも酔えないんだ……」
項垂れる白蓮。
「私はどうしたらいいんだ? 勅命に逆らうなんて出来やしないし、かと言って歳三に従う事を皆に宣言してしまったんだぞ?」
「…………」
「歳三、頼む。お前からも陛下に申し上げてくれ」
「いや……。私の口添えなど無意味であろう」
「何故だよ! 月だって許されたじゃないか」
「お前と月では事情が異なる。それに、月は予てより陛下に願い出ていたのだ」
「……じゃあ、歳三は私に残れって言うのか?」
恨みがましい眼で私を見る白蓮。
「白蓮。お前とその軍が我らに加わる事は大いに意味がある、それは確かだ」
「じゃあ、連れて行ってくれよ!」
「まぁ待て。何も今更その話を白紙に戻すつもりはない」
「……どういう事だよ」
「お前は約束通り受け入れる。だが、洛陽には留まって貰う」
「私を置いていくという事か?」
「そうだ。だが、期限付きでな」
「…………」
ジッと私の話に聞き入る白蓮。
その顔からはいつしか、苦渋が消えていた。
「つまり、陛下の命を拒むのではない。司隷校尉の話も受ければ良い」
「けど……。そうすると、私は歳三よりも上官になってしまうぞ?」
「ふっ、それがどうした? 白蓮、お前はそのような上下関係を以て私に接するつもりか?」
「馬鹿を言うな! 私がそんな薄っぺらい奴だと思うのか!」
「そうであろう? ならばそのような形式に拘る事はない。貰えるものは貰っておけば良い」
私の言葉に、白蓮は盛大に溜息をつく。
「全く。歳三の物怖じしなさには驚く以前に呆れるな」
「それが私だ。今更改めるつもりもない」
「……で。期限付きで、と言ったな?」
「ああ。例えば二年、その間に立て直せればそれで良し。さもなくば」
「問答無用で職を辞して、歳三の下に行く。そ
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