第二部
第三章 〜群雄割拠〜
百六 〜白蓮の決断〜
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う」
こうして、白蓮らは我が軍に吸収という格好となった。
が、白蓮の事は決して他人事ではない。
「桜花(士燮)から火急の知らせ、ですか」
「うむ。山越が蠢動しているようだ、それも大規模に」
「漢王朝の混乱を見て取ったんでしょうねー。桜花ちゃんや山吹ちゃん達だけでは厳しいと思うのですよ」
「ええ。早急に帰らないといけませんね」
禀と風が口を揃える。
「でも、この洛陽はどうするんですか? 何進さんがあんな事になってしまいましたし」」
「今私達が離れれば、無人同然ですね」
朱里と雛里の表情も晴れない。
何進だが、シ水関での戦いの最中に急死していた。
暗殺などではなく、病によるものらしい。
私や月に要らぬ気遣いをさせぬように、との遺言でその死は暫く伏せられていた。
その事を知ったのは、私が長安から帰還した後の事だ。
意外と肚の据わった御仁だったが、人の死とは真に呆気ないものだと思わされた。
だが、これで中央で軍を束ねる人物が不在となったのも事実。
陛下は私がその役目を担う事をご所望のようだが、その為に交州を見捨てる訳にはいかぬ。
問題は月だが……情けからまた損な役目を引き受けねば良いのだが。
「兎に角、行動するより他にあるまい。各々、準備にかかるよう」
「御意」
次から次へと難題ばかりが続くものだ。
何とかこの事態を打開せねば。
その夜。
「歳三。いいか?」
白蓮が、私の部屋を訪れた。
微かに、酒の香りがする。
「呑んでいるな?」
「ああ。邪魔じゃなかったか?」
「いや。急ぎではない」
手元の書簡を巻き取り、机の隅に置いた。
「兎に角座るが良い。立ったままでは話も出来まい」
「あ、そ、そうだな」
顔を赤らめながら、白蓮は手近な椅子に腰掛けた。
どうやら、かなりの量を過ごしたようだな。
「実は今日、陛下に拝謁を願ったのさ」
「ふむ」
「勿論、州牧返上を奏上したんだ。一度決めた以上、行動は早い方がいいからな」
「それで?」
「返上自体はお認めいただいたよ。今の私じゃ、どう足掻いても務まる筈がないからな」
だが、白蓮は苦い表情だ。
「その様子では、話がそれで終わらなかったようだな」
「そうなんだ。幽州牧の任を解く代わりに、司隷校尉を務めるようにとの仰せだった」
なるほど、白蓮に眼を付けたか。
州牧もあくまで返上であって更迭ではない。
当人はあまり自信がないようだが、実績と才覚からすれば決して不相応ではあるまい。
それに、人材が払底している中で新参者ではなく天下に名前も知れている。
麗羽や袁術のように、一族のしがらみに縛られる事もない。
これが平時
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