第三十九話 運命の炎の中で
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て言う。
「包帯を巻くの上手よね」
「私だって看護兵として訓練を受けてきたから」
だからだというラポーだった。
「これ位は簡単よ」
「そうなの」
「そうよ、こうしたことは任せて」
そしてコスモに対してこう告げた。
「かすっただけだから傷の心配はいらないわ」
「そうか、やっぱりな」
「ええ、そうよ」
「わかった。それじゃあだけれどな」
コスモは自分のことから話題を変えた。
「あのキッチンって娘は何処に行ったんだ?」
「数少ない生き残りだからな」
モエラはまずはこう話した。
「ベス達に状況を説明しているよ」
「そうか。じゃあ」
「待って、コスモ」
カーシャは彼が椅子から立ち上がったのを見て問うた。
「何処に行くのよ」
「折角だからな」
まずはこう言うのだった。
「俺を撃った娘と話をしてくる」
「話をって」
「いい機会だよ」
微笑んでの言葉だった。
「だからさ。今からさ」
こうしてだった。そのキッチンのところに向かう。皆その彼を見送ってからやれやれといった調子で苦笑いを浮かべて言うのだった。
「タフな奴だな」
「全くよ」
カーシャはモエラの言葉に頷いた。
「昔からだけれどね」
「しかしああいう逞しさがないとな」
だがここでモエラは言った。
「この先生きていけないからな」
「それはその通りね」
そしてだった。また医務室に誰か来た。それは。
「あら、ファード」
「どうしたんだ?」
「う、うう・・・・・・」
泣いていた。見れば膝をすりむいていた。皆それに気付いた。そしてラポーが彼に声をかけた。
「転んじゃったのね」
「うん・・・・・・」
「こっちにおいで」
そのファードに優しい声をかけるのだった。
「手当てしてあげるから」
「おい、そんなことじゃ駄目だぜ」
勝平がファードに対して言った。
「男がそんなことで泣いてたらよ」
「だって痛いんだもん」
「痛いのが何だってんだ」
勝平はその彼にまた言った。
「俺なんかな、バイクで転んでもな」
「中一でバイクを乗り回すことの方がまずいだろ」
「そうよ」
その彼に宇宙太と恵子が突っ込みを入れた。
「そっちの方がずっとな」
「問題ありじゃない」
「何だよ。無免許運転が悪いのかよ」
「こいつ、自覚してやってたのか」
「何て奴だ」
皆これには呆れてしまった。そして未沙も言った。
「厳しく教育する必要がありそうね」
「げっ、藪蛇」
「藪蛇じゃないだろ」
「全くだ」
皆その勝平にまた言う。
「何処に中学校一年でバイク乗ってる奴がいるんだ」
「そんなの何処にもいないぞ」
「ちぇっ、いいじゃねえかよ」
勝平に反省の色はない。
「そんなのはよ」
「まあこいつはこうだか
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