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茨の王冠を抱く偽りの王
22.祈りと紫苑
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現れたのは、スーツを着ているが走ってきたせいか、形が崩れシワができいる。.........彼、茨カイ。

「遅いぞ、カイ!!」

「まぁ、いつものことだが」

「お疲れ様、カイ君」

「大変だったね」

「ほらほら、早く座って座って」

「カイ、あんたどこから走って来たのよ?」

「ちょっとな」

「壊.......久しぶり」

「おう、久しぶり、集!」

カイが来て皆が揃った。

「それじゃあ、今年も」

颯太君の掛け声で皆がグラスを持つ。

「「「「「「「「カンパイ!!!」」」」」」」」




「なぁ、綾瀬.......俺のやったことって良かったのかな?」

食事会も終わり夕暮れに染まる空のした俺と綾瀬は家に帰っていた。

「そんなの私に聞かれても」

「だよな」

「でも、カイがやったことで不幸になった人はいないんじゃないかな。大切な人が戻ってきた人だっているんだし。私たちも祭が戻ってきて良かったって思ってるでしょ?」

「そうなのかな」

俺は右腕を空に掲げる。
右手の薬指にはめられている青紫色の指輪を見ながらあの出来事を思い出す。

数年前の事件........四度目の黙示録。
俺が最期にシオンから引き出したヴォイド.......厳密にいえば、俺の時を戻す腕のヴォイドとシオンの指輪のヴォイドの融合によって誕生したヴォイド........時を戻す指輪。

このヴォイドの神に等しき力。アポカリプスウイルスの存在そのものをなかったことにするが如く、アポカリプスウイルスの時が全て戻った。
アポカリプスウイルスによって結晶化した街には、結晶が消え去りロストクリスマスが起きなかったと思わせるほどに都心は回復していた。
これは見方によっては、神への冒涜と呼ぶものもいるだろう。
このヴォイドはさらにアポカリプスウイルスやヴォイドの破壊によって結晶化し、消滅した人々をこの世に戻した。
でも、このヴォイドは万能ではなかった。ヴォイドやアポカリプスウイルスに近づきすぎた者はこの世に蘇ることはなかった。
そのため、シオン、いのり、マナ、ガイの時が戻ることはなかった。

「ねぇ、カイ」

「何だ、綾瀬」

「何で、私と結婚してくれたの?」

夕暮れに染まる中、綾瀬の顔は赤く染まっていた。

「そんなの好きだからに決まってるじゃないかよ」

「でも、カイはシオンのことが.......」

綾瀬は少し下を向いて言う。

「確かにシオンのことは好きだった。俺が今、好きなのは綾瀬だ。シオンは俺の中で生きてるから」

「そうだね」

綾瀬はいつものように笑顔を振る舞う。

「カイはもう慣れた仕事に」

「まぁ、だいたいな。でも、
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