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茨の王冠を抱く偽りの王
22.祈りと紫苑
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...そう.......だよ.........でも......それ......だけじゃ.......ねぇ.......みんながっ..........みんながいるから........俺は.......生きなきゃ.........いけ......ない.......んだ」

「そうですか。ですが、本当のお別れのようですね。.........あなたのことは一生忘れることはないでしょう。僕の攻撃にここまで耐えた人間は初めてですからね。.........さようなら、茨カイ」

.......ゴメンな、シオン、綾瀬、集、俺、もう無理みたいだ。

ーー諦めないで、カイ。
ーーあなたの体はまだ動く。
ーーみんながカイを待ってる。

「し........シオン」

「何ですか、これは........」

白衣の少年の動きが止まる。
降り注いでいた氷の結晶のようなものと歌声が消え、代わりにいのりとシオンの歌声が聞こえる。

自然と体は軽い。
今ならいける気がする。

「そうだよな。まだ、俺は約束を守ってない。だから、まだ俺は死ねない。シオンを助けるまでは!!綾瀬との約束を守るまでは!!」

最強ヴォイド.......茨の王冠(ギルティクラウン)を操る!!

右腕がものすごい光を放ち出す。
これは新たなるヴォイドの出現に合図のようなもの。

これが俺の希望.......俺たちの最後の希望だ!!

右腕から現れたヴォイドは..........茨のヴォイド。
だが、このヴォイドはあの時、暴走したヴォイドとは違う。
もっと優しい茨。

「今さら、どんなヴォイドを出そうとあなたの運命は決まっています!!」

白衣の少年が再び漆黒のレーザーを放つ。

「........いくよ、シオン」

俺の前に巨大な金色の薔薇が出現し、漆黒のレーザーを防ぐ。

「そういうことか.......シオン。.........凛と咲く花(エンピレオ).......か」

漆黒のレーザーを金色の茨が包み込み、全てを消し去る。
金色の茨は、白衣の少年のヴォイドを飲み込み、強烈な光を放つ。

光が消えると白衣の少年と白衣の少年のヴォイドが跡形もなく消えていた。

「待ってて、シオン.......今から向かうから」

俺は重い足を一歩一歩、前へ前へと進めて行く。

体が重い......頭はふらつく......視界はかすむ.......でも、俺は、俺は、シオンを.......シオンを......

「ようやく......たどり......着いた。.......シオン」

かすむ視界の中、俺の視界に一つの光が見えた。

「.......し、オン.......やっと.....会えた」

一歩一歩、重い足を前へ前
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