第三十話 ファーストアタック
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「ああ、そうさ」
「これがシェリルさんの」
「心の歌なんだな」
ミシェルとルカに返した言葉ではなかった。
「そうなんだな」
「どうだ?感じたか?」
「先輩も。やっぱり」
「ああ、感じた」
こう返しはした。
「はっきりとな」
「そうか、じゃあな」
「最後まで聴きましょう」
「ああ、聴く」
真面目な顔でこくりと頷いてみせた。
「ここまで来たらな」
「ああ、覚悟決めなよ」
「それじゃあね」
「うっ・・・・・・」
三人の横ではキャスリンが。ついつい口を手で押さえていた。
ボビーはその彼女を見てだ。からかって言ってきた。
「あらあ、おめでだ?」
「違います」
すぐにむっとした顔で返すキャスリンだった。
「マクロスの動きが激しくて」
「酔ったのね」
「はい」
そうだというのだった。
「少し」
「あらあら、あの程度で酔うなんてね」
「駄目だともいうのですか?」
「まだまだ鍛える必要があるわねえ」
こう言うのであった。
「これからね」
「鍛えるとは」
「これからいつも艦橋よ」
そしてこう言ってきたのだった。
「それでどうかしら」
「えっ、あの艦橋にですか」
「そうよ。それでどうかしら」
「それは・・・・・・」
「勿論無理にとはいわないわよ」
それはしないというのだった。
「貴女の自由よ。ただ」
「ただ?」
「それじゃあ貴女は満足しないのではなくて?」
そうではないかというのであった。
「だって。貴女もね」
「私も?」
「そっかは言わないわよ。ただ」
「ただ?」
「彼はまだ吹っ切れていないみたいよ」
思わせぶりな笑みと共の言葉だった。
「どうやらな」
「言っている意味がわかりません」
わざと強気な顔になっての言葉だった。
「一体何を」
「何ももそうももないわよ」
ボビーの顔が悪戯っぽい笑みになっていた。
「わかるんだから」
「何のことか」
「まあまあ。少なくともね」
顔は笑っていた。しかし目の光が輝いてだった。
「今の彼よりはずっといいわよ」
「今の」
「彼は止めておきなさい」
よく見ればだった。今のマルコの目は笑っていなかった。
「わかったわね」
「止めておくとは」
「そうよ。あれは悪い男よ」
そうだというのである。
「だからね。止めておきなさい」
「それはどうしても」
「そうよ、どうしてもね」
まさにそうだというのだった。
「わかったわね」
「彼は」
「曲者よ」
ボビーはまた言った。
「それもかなりのね」
「切れ者だとは思いますが」
「切れ者じゃなくて曲者よ」
ボビーはキャスリンのその言葉を訂正させた。半ば無理にだ。
「男を見抜く目も育てることね」
「目を」
「あた
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