第二十七話 ワールの意地
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「そしてそれで相手の目をくらませて」
「そのうえで左にですね」
「そう、回り込むのよ」
ミネバは言いながらグワダンの艦橋のモニターに映るその敵を見ていた。それはやはり一列だった。一列のままそのまま進んで来るのだった。
「それでいいかしら」
「はい」
ハマーンの顔が微笑んでいた。
「それではその様に」
「いいのね、それで」
「ミネバ様の仰る通りです」
また話すハマーンだった。
「ここはそれで行くべきです。ただ」
「ただ?」
「このまま回り込んでも動きを察知されます」
ハマーンはこのことも言った。
「ですからここは徹底したジャミングも行いましょう」
「ミノフスキー粒子をなのね」
「敵は焦っています。そこまで考えは回っていない模様です」
「ではそれを衝いて」
「はい、ダミーの姿を見せて」
まずはそうしてだというのだ。
「我々の姿は隠してです」
「それで攻めるのね」
「そうしましょう、宜しいでしょうか」
「そうね。そこまで考えは回らなかったわ」
ミネバはグワダンの艦橋において頭を少し下げてしまった。
「私は」
「いえ、そうではありません」
そうではないというのだ。
「ミネバ様、よくぞそこまで見られました」
「そこまでなの」
「はい、この戦いはこれで勝てます」
温かい言葉だった。ミネバを本当に見ているからこその言葉だった。
「お任せ下さい」
「じゃあこのまま」
「はい、全軍左へ!」
ハマーンが指示を出す。
「ダミーを出す。そして我々の姿はミノフスキー粒子で消す!」
「了解です」
応えたのはイリアだった。
「それではその様に」
「そして我々は」
「攻めますね」
ランスとニーも問うのだった。
「百万の兵に切り込む」
「これから」
「そうだ、敵の数はいつも通りだ」
今更百万の敵を前にしても恐れる彼等ではなかった。これまでその程度の戦いは繰り広げているからだ。それで恐れる筈もなかった。
「だからだ」
「わかりました」
「それでは」
こうしてだった。彼等はミネバとハマーンの作戦通りに動いた。そのままダミーを出し姿を消した。そうしてバルマー軍はそのダミーに近付く。
ダミーは今は動かない。ワールはそれを見ても気付かなかった。
「引き寄せて迫るか」
「どうやら」
「このまま」
ワールに対してバレンとグールが答えた。
「では我々はです」
「彼等を一気に」
「そうだ、一気に殲滅する」
ワールは言い切った。
「いいな、百万の兵全てを投入してだ」
「一撃で屠りましょう」
カッチも言ってきた。中軍を率いる彼もだ。
「このまま」
「ではこのまま」
「敵を」
こうして彼等は気付かないまま攻撃に入る。気付いていないのは敵についてだけ
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