第二十一話 守護神の巫女
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はその通りだ」
カティもそれは読んでいた。
「ならばだ。やはり今は」
「戦いましょう」
「そうだな」
こうして戦いがはじまった。ムゲ帝国軍は包囲しそのうえで攻撃を仕掛けた。しかしそれでもロンド=ベルの強さは健在であった。
「主砲発射用意」
「わかりました」
レイヴンがサンドマンの言葉に応える。グラヴィゴラスの主砲が動く。
そうして敵軍にその主砲が放たれる。幾条の光が敵軍を貫き多くの光が起こった。
ムゲ帝国軍は劣勢だった。それを見てシャピロの横にいるロッサが言ってきた。
「シャピロ様」
「わかっている」
シャピロは不機嫌を露わにさせている。
「戦局だな」
「はい、このままではです」
「敗れるか」
「フロンティアを陥落させられません」
こう言うのだった。二人は今旗艦の艦橋にいる。
「とてもですが」
「いや、このまま攻める」
しかし彼は諦めようとはしなかった。
「このままだ」
「攻めるのですね」
「一兵だけでも残ればいい」
こうまで言った。
「そしてフロンティアを陥落させるのだ」
「フロンティアに何があるのでしょうか」
ロッサは怪訝な顔になっていた。
「どうしてそこまで」
「やがてわかる」
シャピロは腕を組んで答えた。
「その時に話そう」
「その時にですか」
「そうだ、私が神になるにはフロンティアにあるものは必要だ」
「神に。シャピロ様が」
「ロッサよ、見ているのだ」
彼は戦局を見続けていた。その一向に進まない戦いをだ。
「私が神になるその時をだ」
「わかりました」
ロッサの言葉が恭しいものになっていた。
「では私はシャピロ様のお傍で」
「そうしてもらおう。ではロッサよ」
「はい」
「全軍さらに攻撃を命じろ」
さらに言う。
「いいな、それではだ」
「では。一兵でもフロンティアに」
「犠牲は厭うな」
シャピロの今の言葉は冷酷なものだった。
「幾ら死のうが構わん」
「五十万の兵、全滅してもですか」
「そうだ、構うことはない」
シャピロはここでも自身の率いる軍を捨て駒にしようとする。
「兵なぞ幾らでもいるのだ」
「だからこそですか」
「そうだ。私は神となる」
やはり自分のことしか考えていなかった。そうしてだった。
自軍に攻撃をさせる。撤退は許さなかった。
ムゲ帝国軍は損害だけが増えていく。シャピロだけが後方で平然としている。
ロンド=ベルの面々はその彼を見て言った。
「あいつ、今度は自分だけ動かないのかよ」
「自分の軍は無茶な攻撃をさせておいて」
「自分はそれかよ」
言葉には嫌悪が露わになっていた。
「神にでもなったつもりか?」
「そんなのなれる筈がないってのによ」
「何様のつもりよ」
「あんな
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