第十九話 シャピロの見えないもの
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「シャ、シャピロ様!」
「このままでは」
すぐに部下達が彼に言ってきた。
「無駄に損害を増やすだけです」
「このままでは」
「くっ、しかしだ」
だがシャピロは歯噛みして言う。
「今退いてもだ」
「ですが三将軍の方々は休養中です」
「閣下の失敗は問われません」
「皇帝陛下にだな」
シャピロは部下達に皇帝の名前を出して問うた。
「そうだな」
「はい、そうです」
「ですから」
「私も休養になることはないか」
シャピロは自分でもこのことを考えて呟いた。
「そうか」
「はい、またロンド=ベルとすぐにでも戦えます」
「ですからここは」
「わかった」
ここで遂に決断を下したのだった。
「では撤退だ」
「わかりました」
「それでは」
こうしてムゲ軍は撤退にかかる。しかしだった。
シャピロはここで見た。フロンティアを。
「むっ!?」
「どうされました?」
「敵の街に何が」
「ふむ、そうか」
ここで彼は言うのだった。
「地球にいない筈だ」
「!?地球にとは」
「何かあったのですか?あの星に」
「では今度は地球に」
「いや、地球には行くことはない」
それは否定するのだった。
「しかしだ。またすぐに攻撃を仕掛けるぞ」
「はい、それは」
「わかっています」
部下達もそれに頷く。戦いは終わりそのうえでムゲ帝国軍は姿を消した。ロンド=ベルのユニークな戦術がそのまま勝利につながった。
そしてそのロンド=ベルはだ。戦闘の後で話をしていた。
「勝ったしな」
「まずはよしとするか」
「戦術がよかったわね」
勝利を喜ぶ言葉からだった。
「しかし。どうなのかな」
「何か撤退の時な」
「おかしくなかった?」
そしてこうした話にもなった。
「しかもさ」
「どうしたの?アラド」
ゼオラがアラドの言葉に問うた。
「何かあったの?」
「いやさ、何か前からなんだけれどさ」
こう言ってからだった。
「フロンティアに知ってる人がいるような気がするんだよな」
「フロンティアに?」
「そうなんだよ」
こう言うアラドだった。
「どういう訳かな」
「そんな訳ないじゃない」
ゼオラはそのことはすぐに否定した。
「私達フロンティアに来たのははじめてだし」
「そうだけれどな」
「それで覚えている筈ないじゃない」
「いえ、若しかしたら」
だがここでクスハも言ってきた。
「それはあるかも」
「あるって?」
「その気配は私も少し感じたことがあるから」
彼女も言うのだった。
「少しだけれど」
「感じたことがあるって」
「そんな筈は」
「あの気配は」
皆が否定しようとするがクスハはそれでも言った。
「イルイ・・・・・・ちゃん?」
「そうそう
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