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故郷は青き星
第二十四話
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いものを感じながらも、男として彼に接している時の彼も良いが、やはり女として接して貰えるのは格別だと思う。そして手は自然に彼の手をしっかりと握っていた。
 普通の挨拶としての握手とは明らかに違う、相手からの感情が暖かな温もりとなって伝わってくるかのような握手に、芝山が『もしかして、いま俺はモテてる?』と浮かれているのも仕方の無いことだろう。

「私とも握手」
 尾津との長い握手が終わると今度は左隣から小さな声が掛けられる。
 振り返るとこちらへと身を乗り出していた山田の顔が、芝山のすぐ顔の下にあって驚いて仰け反る。
「ああ、よろしくね」
 表情を変えず瞬きもせずじっとこちらを見つめる、二重の大きな瞳に射すくめられながらも芝山が手を差し出すと、山田は両手で彼の手を握るとそのまま大きく手を上下に振って握手すると、満足そうににっこりと笑顔を浮かべて小さく「ありがとう」と呟く。
 その無表情から笑顔へのギャップに、芝山は何かに目覚めそうになってしまっていた。


「では皆様。連盟軍サジタリウス腕方面軍。第1211基幹艦隊司令官。エルシャン・トリマ准将よりお話があります」
 進行を務める男性の声と同時に、演壇の後ろの天井から大型IELディスプレイ──無機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(Inorganic Electro-LuminescenceInorganic Electro-Luminescence Display / 無機ELディスプレイ)──が下りてくる。
 その様子に参加者達が『何だ結局CGかよ』と肩透かしを食らっているとホール前方の入り口のドアが開く。
「リアルエルシャン!」と誰かが声を上げる。

 身長180cmを超える決して小さくない身体に、愛玩動物のような可愛らしさを秘め、プレイヤーの誰もが一度は耳や尻尾や首もとを触りたいと言う欲望を密かに抱かずにはいられないエルシャンの姿があった。
「やるな運営。気合の入ったコスプレだ」
「クオリティー高すぎるだろ?」
「触りたい。撫でたい」
 そんな声に迎えられながら、エルシャンは演壇に立つ。
「こうして直接お会いするのは初めてという意味で、初めまして皆さん。私はエルシャン。エルシャン・トリマと申します。よろしくお願いします」
 演壇で頭を下げるエルシャンに、参加者達も「よろしくお願いします」と頭を下げて応える。
「今日。こうして皆様に集まってもらった目的は、DSWOの大規模アップデートに関するテストプレイヤーとして集まってもらったわけですが」
 そこで一旦言葉を切ると、エルシャンはゆっくりと会場の参加者達の顔を一人一人見渡してから、言葉を続ける。
「それは全て嘘です」
 エルシャンのぶっちゃけ過ぎる爆弾発言に、参加者のどよめきで会場は揺れた。
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