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故郷は青き星
第二十四話
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始しており、マザーブレインがAIならではのマルチタスクで同時に説明を行っていたために、ほぼ同時に出されたこの提案を偽エルシャンは鎌をかけてきたことを承知の上で笑顔で承諾する。


 そして芝山よりも先に会場に着いた2人は、到着する参加者の中に芝山らしい人物を探していたが、芝山よりも先に見たくない顔を見つけてしまう。
「ゲーム中の姿のままって……馬鹿?」
「むしろ現実の姿のままでゲームをしてるんだろうけど……多分、馬鹿なんだろうな」
 周囲から「リアル梅本?」という声が上がるのを聞きながら、首を傾げる山田に眉間を押えながら尾津が答える。

 そんな騒ぎの中、渦中の人物でありながら唯一騒ぎに巻き込まれていない梅木は、さすがネット内ストーカーと呼ぶべき目敏さで、会場に現れた芝山をいち早く発見し、2人を出し抜き──本人はそんな気も無いというか、2人の存在すら頭の中には無かった──芝山への接触に成功したのだった。

 芝山は会場内をしきりに見渡しながら梅木に尋ねる。
「ところで梅ちゃん山田と尾津は?」
 2人の姿が見えない事に気付いた芝山に、当の本人達は嬉しげに小さく右腕でガッツポーズをとる。
「そういえば見て無いわ」
 一方、興味なしといった感じの素っ気無さで答えた梅木には「不幸になれ」と呪いを吐く。
「そうか、まだ全員揃ってないみたいだし、後から来るだろう」
 自分達が選ばれない事など微塵も疑っていない彼の信頼に、再びガッツポーズをとる。
「そう? 案外、普通に選ばれなかったって事もあるわよ」
 チームメイトとしてはともかく、柴田と自分の事に関しては山田と尾津をお邪魔虫くらいに思っている梅木がばっさりと切り捨てる。
「やっぱりあいつは敵」
「あの時、はっきりと断っておけば」
 山田は目に涙を浮かべ、尾津は歯を食い縛り仲間に入れたことを後悔する。
「それはない。都合が悪くて断ったのかもしれないけど、選ばれなかったという事は無い」
 内心『梅ちゃんでも選ばれているんだから』と思った芝山。彼の中では梅木の実力は4人の中で一番評価が下だった。

 やがて参加者も集まり空いていた次第に席も埋まりだす。
「皆様お揃いになられたようなので、ご着席お願いします」
 年恰好30がらみで、きっちりとスーツを着こなし、銀行員の様なお堅い印象の男性が進行役として演壇横のマイクで呼びかける。彼は銀行員ではなく経済産業省からニューワールド社日本支部に出向している若手の官僚であった。
 彼の呼びかけに従い、芝山と梅木がまだ比較的埋まってない2列目の席に腰を下ろそうとした瞬間、2つの影が素早く彼の両隣を席を占領する。それは梅木が反応出来ないほど一瞬の出来事だった。
「よろしくお願いします」
 左隣の席から声を掛けられた。
 梅木と違っ
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