アインクラッド 前編
経験は毒針に
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でもない、無理をせず、まずは防御に徹し、そして現れた隙を逃すことなく仕留める、堅実な戦い方。昨日新しく買ったばかりの両手剣も、まるで長い間扱ってきたかのように使いこなせていて、見ていて安心感すら覚える。
「スイッチ!」
数回目の打ち合いの後、センチネルの戦斧が高々と跳ね上がり、トウマがスッと引き下がった。マサキは即座にトウマとアイコンタクトを交わし、交代して前衛に入ると同時に《リーバー》を繰り出した。未だ高空に打ち上げられている戦斧には目もくれず、ただ弱点である喉元に赤い光をまとった刃を突き立てる。
正確に弱点を貫いた攻撃は、先ほどのアスナの攻撃によって既に半分を割り込んでいたHPを、余すことなく削りきった。
防御に慣れているキリトと防御が得意なトウマが隙を作り、速度に優れ、センチネルの弱点を突きやすいマサキとアスナがダメージディーラーの役割を担う。事前に四人で話し合っていた作戦が、しっかりと機能していた。
「GJ」
「そっちも」
キリトの労いに対してアスナは短い言葉で、マサキはサムズアップで答えると、主戦場であるA〜D、F隊と《イルファング・ザ・コボルトロード》との対決に目を向けた。彼らのHPはいずれも安全域であるグリーンに染まっており、時々攻撃を受けたプレイヤーのHPがイエローゾーンに達することはあるが、POTローテーションも安定していて、今のところ問題は全くない。
マサキがそう考えたところで、ディアベル達のC隊が、イルファングの一本目のHPゲージを削り取った。途端に周囲のプレイヤーから歓声が上がり、否応なく士気を高める。マサキはトウマたちと合流し、新しく出現したセンチネルに向かって駆け出した。
この“ソードアート・オンライン”がデスゲームと化してから最初のボス攻略は、順調すぎるほど良好な状態で推移していた。三本あったHPゲージは既に二本が削り取られ、残りは二本。そしてそのうちの一本は残量が半分まで減っている。このままいけば、間違いなく一人の犠牲者も出さずに勝利を収めることが出来るだろう。取り巻きであるセンチネルの駆除も、あぶれ班であるマサキたち四人の奮戦によって滞りなく進んでいる。撃破数ではマサキたち四人がG隊六人を上回り、E隊をイルファングへの支援に回す余裕すらできたほどだ。
「ハアッ!!」
ここでアスナが何度目かの《リニアー》を撃ち、彼女の前方にいたセンチネルのHPゲージががくっと削り取られた。そのダメージによって更なるディレイがセンチネルに課され、動きを止める。マサキはチャンスと判断して一気に距離を詰め、《リーバー》でセンチネルを貫き、青のガラス片へと変えた。
耳をつんざく甲高い破砕音を聞きながら、マサキは周囲を見回した。これで三回目に出現したセンチネルは全滅
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