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魔法少女リリカルなのは〜転生者の誓い〜
第十一話・変化する転生者
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「…腕?」


腕。

右腕ではなく左腕。

そう、失ったはずの腕が俺に付いていた。

しかしそれは人の腕というにはあまりに無骨な形で、

また大きさも間違いなくかつての俺の左腕の二、三倍は大きく

更に注目すべきはその腕は一目で作り物と分かる材質、

簡単に言うと金属と思われる素材で出来ている。


まさか


俺の頭の回転が自分でも信じられないくらいに回る

ユーノの覚えのない人形の手

生き返る際に言われた神のプレゼントという言葉

そして何より今までユーノやなのはが魔法を使う際に僅かに感じた力のようなもの

それが今俺の中を、左腕を中心に溢れているのが分かる。

これらから導きだされる答えは・・・

そこまで考えが回ったとき、ユーノが俺の思いついた答えと同じ事を叫ぶ


「デバイス!?」


魔法に詳しいユーノも同じ答えに辿り着いたからには確定と言っても過言でないだろう。

そう、デバイス。

それは俺が再び戦う事が可能になるには十分すぎる力。

つまり、神はこのまま俺が物語からフェードアウトするのは元から許さないという事、

俺が望もうと望まずともだ。

遅かれ早かれ、確実に俺は何らかの形でこのデバイスを手にしていた事だろう。

プレゼント

それが趣味の悪いあの神様らしい、皮肉な更なる戦いへの誘いの言葉だったわけだ。

ならば、と俺は思う。

現状の退屈で暇な日々から抜けだす手段は手に入れた。

やってやろう。

皮肉な神からの差し金でも、

退屈を嫌った心の望む最悪の戦う理由でも


妹を守る。


それが果たせるのなら。

やるしかない。

そうだ、やるしかない。

大事な事なので心の中で二回呟く。

そして、そんな時だ

不意に俺の体に誰かが飛びついてきた。

全くの予想外の出来事に体制を崩して後ろに倒れる。

誰が?

そう思い、倒れた後も俺のマウントポジションにいる誰かを見る。

それは


「ううっ…」


今にも泣き出しそうな顔をしたなのはだった。

なのはは呟く

良かった、と

お兄ちゃんがまた大怪我をしなくて良かった、と

俺はそんななのはの頭を右手で撫でる。

それが愛しい妹を幸せに出来る俺の唯一の事だから

なのはが笑顔に変わる。

ああ、そうだ

これだ

俺はこれを守るのだ。

いや、守らなければいけない。

そう、思わせてくれる素敵な笑顔だった。










そしてこの日を境に俺の平凡な日常は再び変化する。

それが良い変化とは言えないだろう。

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