アインクラッド編
語らう2人
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の攻撃をするのは怖いか?」
サチの表情が硬くなった。
嫌な話に変えて申し訳ないと思うが、全員で取り囲まれた状態でするよりはマシだとアスカは判断する。
先ほどまでの戦闘でサチがスイッチのタイミングを逃していた理由は恐らくそれだ、とアスカは予想している。
亀の頭部に正確にダメージを与えるためには後衛であるサチの槍でもかなり接近してソードスキルを発動する必要があるからだ。
「うん・・・・遠くから槍で攻撃するくらいなら大丈夫なんだけど、今みたいに敵に自分から接近して攻撃するのは・・・・・・」
消え入るような声になってしまっているサチの気持ちはアスカにも痛いほど分かる。
この世界での戦闘はリアル過ぎるのだ。
敵のグラフィックも恐ろしいほどに精密で原始的恐怖を呼び起こすし、こちら側には現実世界での死という危険が常に付きまとう。
自分のことを卑下しているようであまり言いたくはないが、アスカは攻略組でボス攻略に挑んでいる人の方が正常ではないと思っている。
サチのように怯えているほうが普通だと考えている。
「・・・・サチは〈月夜の黒猫団〉が攻略組に入ることに反対しないのか?」
アスカからの問いサチは答えづらそうな表情をする。
「・・・・反対しているわけじゃないけど・・・・・・戦うのは怖いし、逃げたいって考えるときもある。けど、第1層からみんなずっと私のことを気遣ってくれていたから、これ以上足を引っ張りたくはないんだ」
「そうか・・・・」
「アスカには最初に出会った時に私たちがリアルでも部活の知り合いって言ったよね?」
「ああ」
基本的に現実世界での話をするのはタブーだが、気にしていない様子でサチは続ける。
「私は現実世界でも引っ込み思案な性格で、パソコン部のメンバーくらいしか友達もいなかった。だから、あの4人の迷惑にはなりたくないんだ」
薄く笑みを浮かべるサチ。
弱い。
アスカはサチの戦う理由を聞いて、最初に出てきた感想はそれだった。
無論、アスカも悪いとは思っていない。
サチの仲間のために戦うというのは、立派な理由だと思っている。
むしろ〈血盟騎士団〉のメンバーに対してそんな感情を抱かないアスカからすれば誇らしい理由だとも。
だが、そこにサチ自身の覚悟はなかった。
悪く言えば周りに流されているだけ。
この世界で攻略組として戦う者には必ず個人的な目標がある、とアスカは思っている。
アスカ本人なら現実世界への1日でも早い生還。
キリトなら女性プレイヤーとして、自分の身を自分で守れる強さを手に入れるため。
第1層からずっと攻略組に居続けている〈ドラゴンナイツ〉のリーダー、リンドなら最強の称号のため。
軍のリーダーのキバオウならベ
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