第五章 『魔への誘い』
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味が分かった。
「魔法世界の崩壊が遅くなればなるほど、魔界の瘴気に侵食されるということですね」
根本的な解決には何もなっていない上に、魔界から流れ込んでくるのはなにも魔力だけではない。濃密な瘴気も流れ込んでくる。ネギはすぐにそれを理解した。
「その通りです。さらにあれは安定しているとは言えません。更に広がる可能性も、閉じてしまう可能性もあります」
魔界への入り口が広がれば、それは瘴気が更に流入してくることになる。そうなればここが魔界へ飲み込まれ、魔法世界が魔界化することすらあり得る。
魔法世界の崩壊の遅滞が良い知らせとしたら、それよりも大きな悪い知らせだ。なるほど確かに、相殺すれば、確かに少し悪い知らせだ。
「では次の知らせについてです。もう気が付いているとは思いますが、黄昏の姫御子……いえ、アスナさんはここにはいません。造物主と共に、魔界へ行ってしまいました」
「つまり明日菜さんを助けに行くには」
「ええ、魔界へ行かなければなりません」
魔界は、魔族達が治めている世界だ。その魔族は総じて凶暴なモノが多く、さらに魔界は人間界や魔法世界とは異なった特殊な世界である。そのため、魔法世界よりも断然に危険である。
「でもこれだけのメンバーなら――」
確かに、ここにいる者達ならば、魔界へ乗り込んでもそうそう苦戦しないだろう。だがネギは、一つ大きな間違いをしていた。全員が魔界へ行けるという前提だ。
その間違いを正すように、アルはネギの言葉に重ねた。
「悪い知らせとはそのことに関してでもあります。他の方々にはお伝えしましたが、私やエヴァンジェリンは魔界へ行く事はできません」
そう告げられたネギは、落胆の色を隠せなかった。師匠であるエヴァンジェリンや、歴戦の魔法使いであるアルの援軍は何よりも心強かったからだ。ネギも二人を頼りにしているつもりはなかったが、この二人が戦力として数えられないのは痛い誤算だった。
「私とエヴァンジェリンが前線へ行けない、つまりそれはこちらの戦力が落ちてしまう事になります。そして最も悪い知らせが、戦力が落ちる我々に対して、造物主側へある勢力が加勢したことがわかりました」
ネギは身構えた。今まで状況が悪化したした事など枚挙に暇がない。そしてそれは大抵、酷く面倒事だった。どのような勢力が造物主へ加勢したのか、ネギは固唾を飲んで聞くのを待っていた。
「かつて魔界を掌握した絶対的な帝王『ムンドゥス』。封印されたはずでしたが、復活を果たして造物主へ加勢したようです」
ネギの思考は一時停止した。
ムンドゥスは二千年前に封印されてから、ほぼ表舞台に出て来なかった。そのため、ムンドゥスに関する資料の数は極めて少ない。しかし、かつて読んだ禁止図書の一節
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