第五章 『魔への誘い』
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返した。
「それはなんとなく分かっていました。アスナさんですね?」
ネギは目を覚ましたあと、すぐに明日菜がいない事に気が付き、それは明日菜の救出に失敗した事を意味すると分かった。
「僕が気を失っている間、どうなったのか教えて下さい」
それからネギは、アルや千雨やエヴァンジェリン達から、現状の説明を受けた。その中で、ネギがまた闇の魔法に飲まれて暴走した件について話が及んだ。千雨が、ネギはそのことについて覚えているのか確認をとる。
「先生、自分が暴走した事については覚えているか?」
「ぼんやりとは覚えているんですが、ハッキリとは……」
闇の魔法の暴走時は、いつもネギの記憶は曖昧になっていた。それは湧いて出てくる負の感情が、表層意識から深層意識までもを埋め尽くすためである。極端な例が、ゲーテルの策略を引き金に暴走した時である。その際、相手の心を写し出す宮崎のどかのアーティファクト『いどのえにっき』に写し出されたネギの意識は、深い深い負の感情に支配されていた。つまり闇の魔法の暴走は、意識がドス黒い感情に染め上げられ、絶対的な破壊衝動に支配された状態なのだ。理性がもたらす記憶は、希薄化してしまう。
「アニキが暴走したかと思うと、ものすげー勢いで造物主の障壁を破壊しちまったんだけど、あと少しってところで、アニキは造物主の野郎にやられかけちまったんだよ」
「あ、師匠(マスター)が助けてくれたんですか?」
状況から推察した考えネギは口にした。ここにいる面子で造物主と渡り合えるであろう実力を持つの者は限られている。ネギの推察は悪くないと言えるだろう。
「いや、ぼーやを直接助けたのは私じゃないぞ。魔法世界(こっち)にきたのはもう少し後だ」
残念だが、ネギの推察は外れていた。その為、千雨がエヴァンジェリンに続いて正解を述べた。
「先生を助けたのは『ダンテ』ってやつですよ」
「ダンテさん……ですか。えっとその方は?」
知らない名前が出てきて、ネギは少し戸惑った。ネギからしたら、その者の存在は謎でしかなかったからだ。
自分を造物主から助けたという事は、少なくとも敵ではなさそうだが、はたして味方なのか? そもそもなぜ自分を助けたのか分からないからだ。さらに辺りを見回してもそれらしい人物は見当たらず、顔を見知っている者ばかりだった。その者がどこにいるのかも聞きたかったようだ。
ネギの問いに、アルは少し間をおいてから答えた。
「その方でしたら、既にあそこへ入っていかれましたよ」
アルは指を指しながらそう言った。ネギはアルの指の先から目を滑らせていく。
そこには、空間にバックリと開いた気味な裂け目があった。裂け目からは今も魔界からの魔力や瘴気が流れ込んでいた。丁度自分の真後ろに
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