第五章 『魔への誘い』
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敵な笑みを浮かべたダンテの姿があった。
仕留め損なった。ブラッドゴートはすぐさまそれを理解し、もう一度拳を振り上げる。しかし、ブラッドゴートの足は動かなかった。
「なッ……?」
それどころかブラッドゴートの体は既に両断されていた。それに気がついた時には、ブラッドゴートの上半身は地に伏していた。
「チェックメイトだ」
ダンテはホルスターから抜いたエボニーの照準を、ブラッドゴートの眉間に合わせてそう言った。ダンテの言う通り、ブラッドゴートに残された手はもはや無かった。逆転の手札などありはしない。
だがブラッドゴートは、無いに等しい魔力を使い、雷撃を放とうとする。実際は腕に微弱なスパークが走る程度の雷しか生み出せなかったが、ブラッドゴートはダンテへ向けて腕を伸ばす。
「……お前みたいなガッツのある奴は、嫌いじゃないぜ」
ダンテは一言そう添えると、躊躇なく引鉄を引いた。
虚空に弾丸の発射音が一度だけ響き、ブラッドゴートの腕は地に落ちていった。
ブラッドゴートの体と薬莢が血の大地の底に沈んでいく様子を見ながら、ダンテはエボニーをホルスターへ仕舞った。すると、血の池の底から何かが飛び出してきた。ダンテを囲うようにして現れたそれらの身体は白く、表面には赤い血管のようなものが何本も走っている。また、背や頭には角のようなものが生えており、禍々しい姿をしていた。
それらは『アビス』という悪魔である。アビスは悪魔の中でも高位種族に連なり、下位の悪魔とは比べ物にならない力を持っている。
アビス達は自身の持つ棒の先に鎌を作り出す。棒の先端は手のように五叉に分かれ、そこにアビスの魔力と血が集まる。魔力と血によって精製された鎌は、炎のように煌めき大気を焦がして陽炎ができている。
アビス達が武器を揃えた様子を見たダンテはリベリオンを背中から引き抜いた。
「さて、第二ラウンドといくか?」
それをきっかけに、ダンテとアビス達は動き出した。
※
雲に隠れていた太陽が姿を見せ、青々しく茂る木々の葉の間からまばゆい陽射しが差し込んできた。ちょうど顔を照らすように差し込んだ木漏れ日が眩しいのか、ネギは身をよじる。樹葉を撫でるように風が吹き抜け、ネギの赤い髪を揺らす。そこへ、誰かの声がネギの耳に届いた。
「もうそろそろ起こさねぇとな」
覚えのある懐かしい声だった。
「――――」
今度は別の声が聞こえた。いや、正確にはネギには聞こえていなかった。なんとなく誰かが喋っている様に感じた。
「まったく、姫さんは過保護というかなんというか」
「――――!」
誰かの声に対して、別の誰かが語気を荒げた様だ。ネギは喧嘩かな? と思ったが、すぐに違うと分かった。喧嘩をして
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