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SAO−−鼠と鴉と撫子と
26,良かった
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かに残る痺れる舌で、「行くなぁ」と叫ぼうとしたが、もう遅い。

戦いは凄まじい速度で行われたが、俺の目にはまるでコマ送りの様に写っていた。

アルゴが振るった一撃を掴み、アルゴの背中へと回りこむ。
前方へ転がって距離をとるアルゴ――最善策だが、コンマ何秒かの死角。
その隙にPoHは自分の短剣を道端にかかっている松明の炎で炙った。

ボォっと一瞬にして炎が刀身を包み込み、色が赤から青へと変わってゆく。

「――っ!!」

目の前でPoHはライトエフェクトが発動したかのようなモーションでアルゴに突っ込んでいく。
構えだけなら、あれは四連撃の《ファッドエッジ》だ。
アルゴはそれを見ると、タイミングを取るかのように体を揺らした。

一発目の突きが繰り出され、それをアルゴはかいくぐる。
《ファッドエッジ》の二発目なら突き――この間にがら空きの腹にカウンターを打てる。
だけど、今回は違う。
誘い込まれた。
叫ぼうとするが、間に合わない。
懐に入ったアルゴの頭上へ突如として起動を変えたナイフが襲いかかった。

アルゴの目から勝利の確信が消え驚愕へと変わる。

ズパン。
肩口を切り裂かれ、アルゴは地面へと倒れこんだ。立ち上がろうと藻掻くが、体の自由が全くきいてない。

俺の時と同じ――麻痺毒だ。

「な……ん……でだヨ?」
アルゴが悔しさを滲ませてうめいた。
PoHはそんなアルゴを見て、愉しそうにナイフをくるくると振り回した。
やがて、腰にあるポーチをガサガサと漁り、中にある結晶を全て回収していく。

「まさか……炎色反応?」
「collect。麻痺毒は燃やすと炎が青く染まるって知らなかったのか?情報屋」

大笑いしながら、大きくアルゴの腹を蹴りだした。うめき声と共にアルゴがゴロゴロと転がり、俺の傍らで止まった。
追いついてきたPoHは持っている短剣を大きく振りかぶる。

「ヤメロ、おい。ヤメロ!!」

這いつくばってでも動こうとする俺の背中に何か重いものがドスン、と重なった。

「そこで、見ていろ。大切な、仲間が、お前のせいで、殺されるのを」
「!!!頼む、やめろ、やめてくれ」

PoHはこちらを見て、唇をニッと吊り上げた。
ブルン、そうやって振るった剣がアルゴの体を引き裂いてゆく。

「アアアアアアァァァァァァァ」
悲鳴は三人から起きた。

アルゴは痛みで
俺は絶望と怒りで
――そしてPoHは悦びのあまり

それぞれの叫びが通路の中を木霊していく。

「いいねぇ、この声。最高だぜ《旋風》。そんないい声で鳴けるなら、もっと最初っからやってくれよ!!」

ズシャン、切り裂くごとに溢れ出るエフェクトはまるで血しぶきのようだ。
アルゴのHPは見る見るうち
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