第一章 グレンダン編
天剣授受者
天剣授受者選定式
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ンは気づいていない。
「はぁーい、リーリン、こんにちは」
「は、はい、こんにちは」
シノーラは笑顔でリーリンに挨拶しながら、天剣授受者たちにリーリンに見えない位置でジェスチャーする。
『ばらさないように』
天剣の一人、カナリス・エアリフォス・リヴィンはそれに気づき、そっとシノーラを守れる位置に移動した。
他の天剣たちは意図が読めなかったがとりあえずその指示に従っていた。
「まったく異例の天剣授受者選定式よ。決勝戦まで武器を使わないなんて」
「本当ですよ……大丈夫なのかな」
「剄の量に不満もないわよ。シキもレイフォンも……まぁ、大丈夫でしょうけど」
シノーラはため息をつきながら二人の今までの戦いを振り返る。
二人の戦いに不満を持つ者も多い。挙句は出来レースと言い放つものもいたが、仕方ないだろう。十歳の子供にいいようにやられる武芸者など市民の目からしたら、わざと負けているとしか見えないだろう。
「次の戦いよね……で、リーリン? 愛しのレイフォンと弟のシキ。どっちを応援するの?」
「え? えぇ!? い、愛しとかじゃないです!! ただのお、幼馴染! 幼馴染です!!」
顔を真っ赤にさせるリーリンを見て、大人たちはニヤニヤと笑う。その反応だけでも答えを言っているようなものだ。
だがそこは指摘しない。指摘するよりも言わせたほうが面白いではないか。シノーラはニコニコ笑いながら発破にかかる。
「そうよねー、『ただの』幼馴染だし、きっとレイフォンも綺麗なお嫁さん貰うんでしょうね」
ビキッ。
「あぁ、天剣になったら王家とのお見合いとかもあるかもしれないわね。美女多いわよ?」
ビキビキッ!
「彼、鈍感みたいだし……あぁ、ごめんねぇ、リーリンには関係ないわよね? 幼馴染だし」
「へい……シノーラさん、そこまでしてあげましょう」
「おい、シノーラそこまでにしろ」
見かねたのかカナリスとルイメイがシノーラの肩に手を置いて止める。
リーリンは顔を伏せてブツブツと何か言っている。
武芸者たちはそれを聞いて……後悔した。
「レイフォンが私を捨てるなんてないよね? 他の女になびくとか……ないよね? でも、後で問いたださなきゃ、そうだそうよ、なんでしなかったんだろう? 早く試合始まらないかな?」
『……うわぁ』
ドン引きだった、さすがのデルクもリーリンの豹変に目を丸くしていた。
シノーラは笑みを凍りつかせながら、珍しく冷や汗を垂らしていた。
レイフォンも悪寒に襲われ、体を震わせていた。
「……なんだか楽しそうなことやってる気が」
『あらあら、余裕ですね』
シキは誰もいなくなった控え室でデルボネと会話していた。昼食は戦闘職ですませ、今は決勝戦に向けて活剄を回らせて、身体に不具合がないか確認してい
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