第一章 グレンダン編
天剣授受者
天剣授受者選定式
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キの勝利だと確信している。あの程度の武芸者に負けるほど、ヤワな鍛え方はされていないはずである。
「……シキ」
レイフォンはその名を口にすると、腰に付けている錬金鋼にそっと触れる。
それは前日まで悩みぬいた結果決めた錬金鋼。それがずっしりとした重みを感じさせていた。
勝てるのか、いや勝たねばいけないとその重みが教える。
マイナスを思考に入れて、勝てるほどシキという相手は甘くはない。熟知しているし、それはシキも同じだ。
同じ場所で生き、同じ道場で習い、同じ戦場に立った。これほどお互いを知る武芸者はいないとレイフォンは思う。
本当ならば本気で戦う必要などないはずだ。レイフォンもシキも孤児院のために天剣を目指している。どちらか一方がなれさえすれば安泰する。理屈ではそうだ。
昨日までのレイフォンならば、シキに勝ちを譲っていたかもしれない。
だが、今回は負けることはできないし、譲ることも出来ない。
言ってしまえばケジメのようなものだ。
レイフォン・アルセイフがレイフォン・サイハーデンになるための。
『では次の方、準備をお願いします』
端子からレイフォンを呼ぶ声が聞こえる。
とりあえずは目の前の敵を倒すことだけを考えよう。それから、シキのことを考えようと。
リーリンはホッと一息ついていた。
今の時間は午後一時、昼食を食べ終えた子供達の何人かを寝かしつけた、ついでにクラリーベルも寝たのは特筆しておくべきことではない。その時、目つきの悪い銃を使う天剣授受者がその子供たちを見ていた。目つきが鋭かったが、意外と子供好きだったらしい。眠っている子供の寝顔を見ているだと気づけたのは、シキが話していた師匠を思い出したからだ。
今は決勝戦に向けて準備時間になっていた。
決勝戦はもちろん、シキとレイフォンが勝ち残った。
「……ふぅ、まったく、心配させて」
リーリンは二人の戦い方にヒヤヒヤさせられていた。
どちらも錬金鋼を使わずに素手で戦っていたのだ。きっちりと勝っていたから良いものを、ヘタをすれば怒り狂った相手に殺されていたかもしれない。そんな考えのせいで、リーリンの心臓はバクバクと今も脈打っていた。
天剣たちはというと、不機嫌なのが少々と笑みを三割増にさせている男が一人、いちゃついている鉄球使いが一人と各自好き勝手やっていた。
一人、リーリンに口説き文句を言ってきた奴もいたが、デルクの睨みに逃げていった。
「もう、あの二人は!」
「心配?」
「ええ、心配……って、シノーラさん!?」
リーリンは突然、横に立っていた女性に心底驚く。
数年前からシキを気にかけてくれる人だ。秘密だが、リーリンの理想の女性はシノーラである。……まぁ、数年後、頭を抱えて後悔することになるのだが、この時のリーリ
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