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番外編
仮面の男
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る。それを飲み終えるとHPが少しづつ、回復していく。

「じゃあ、俺はそろそろ帰るから」

 そう言って仮面の男は、部屋から出て行こうとする。

「ま、待ってください!!」

 男を呼び止める。

「どうした?」

「こ、ここまでしてもらって報償も無しでいいんですか?」

「ん、別にいいよ。人助けは別に見返りが欲しくてやるもんじゃねえだろ」

 こんな人もゲームの中にいたんだ、そう思った。

「そ、それじゃあ、もう一つ、頼みを聞いてもらえますか?」

 それを聞いた男は、しばらく考えて言った。

「いいけど、出来る限りのことだけだぞ」

「すみません。それじゃあ、このダンジョンから脱出したいんですが……」

「そんなことか。別にいいぞ。俺も、もうここには用がないから」

「あ、ありがとうございます」

 そう言うと、男は口をへの字に曲げる。

「敬語、やめてもらえるか?敬語を使われるとどうも、むず痒いんだよ」

「は、はあ」

「よし。じゃあ出口に行くか」

 男はそう言って歩き始めた。

 なんか、すごい人なのかよく分からない人だな、と思いながら、彼の後を追った。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「そういえば、なんでこんな不人気ダンジョンに来てるんだ?他にもたくさんいい場所があるのに」

 不意に仮面の男が聞いてくる。

「えっ……まあ、一番人が少ないと思ってたから」

「まあ確かに、ここは不人気だしな。武器破壊をメインにしたダンジョンだし」

「でも、ここは特にアイテムが残されてたし、もしかしたらレアアイテムがあるかもしれなかったから」

「確かにな、まあ俺が来たときはあんまなかったけど」

「多分、全部私だ。ここに結構潜ってたし。で、あなたは、どうしてこの場所に?」

「俺?武器の強化のために素材集めに来ただけ」

「そうなんだ」

 その時ちょうどモンスターが現れる。ブレイクゴブリンだ。このモンスターは、さっきのモンスターハウスでも出てきた武器破壊を目的とした爪、クラッカークロウを装備したモンスターだ。しかも大型のゴブリンで、腕の太さは丸太くらいある。

「ちょっと、下がってろ」

 その指示に従い後ろに下がる。男は、ゆっくりとモンスターに近づいていく。しかし、武器は出さずに。そしてある一定の距離まで近づいたためか、ゴブリンはその男に飛び掛る。
そして爪が男を切り裂こうとした時、爪のついた腕が止まる。

「嘘でしょ……」

 その男は、爪のついた腕を片手で止めていたのだ。

「悪いが力勝負じゃ負けねぇからな」

 そう言って男はゴブリンの腕を両手で持ち、そのまま背負い投げの要領で投げ飛ばした。
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