第百六十七話 彼方への扉
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史だ」
「それか」
「そうだ。それは我々の世界でも」
彼は言葉を続けてきた。
「この世界でも同じだ」
「そして」
レモンもまたギリアム達に言ってきた。
「戦いは常に人間に新たな進化を促してきた」
「そうだ」
ヴィンデルはレモンの今の言葉を肯定してみせた。
「精神的にも肉体的にもだ」
「それは否定できないわね」
「戦いがなければだ」
ヴィンデルはさらに言ってみせた。
「人類は未だに宇宙に飛び出すことすらできなかっただろう」
「確かに」
彼の言葉に応えたのはツグミだった。
「それは事実よ」
「おい、ツグミ」
「わかってるわ」
アイビスに応えたうえでさらに言うのだった。
「宇宙への技術の多くが兵器に流用されているわ」
「そうだな」
「その最たるものがテスラ=ドライブではないかしら」
「けれど」
ここでアイビスが言った。
「それは兵器として使う奴等が悪いだけなんだ」
「その通りよ」
これこそがツグミの言いたいことだった。
「アイビス、その通りよ」
「そうだよな」
「つまりだ」
今度はスレイが言った。
「御前達の言う通りではないのだ」
「違ういうのか」
「そうです!」
「そうだ!」
またツグミとアイビスが告げた。
「貴方がそう思っているだけです!」
「戯言を言うな!」
「しかしだ」
それでもヴィンデルは己の説を引っ込めなかった。
「闘争は人間にとって滋養分なのだ」
「滋養分か」
スレイはまた目を顰めさせた。
「まだ言うのか」
「それが無い世界はゆっくりと腐敗し」
言葉を続けていくヴィンデルだった。
「やがて取り返しのつかない世界となる」
「それは勝手な理屈でしょう」
シャインがそれを聞いて言い捨てた。
「貴方の」
「戦いがあれば人が死ぬんだ!」
シンも叫ぶ。
「俺の故郷は戦争に巻き込まれそうになった!」
「そして俺の母さんは」
アスランは己のことを話してみせた。
「戦争で死んだ」
「屁理屈にも何にもなってないわよ!」
「そうよ!」
ルナマリアとミリアリアも言う。
「戦争で死んだら終わりよ」
「他にも酷いことは幾らでも起こるわよ!戦争で!」
「真実だ」
だがそれでもヴィンデルは言う。
「その証拠に君達の世界もだ」
「私達の世界が」
レイがそれに反応を示した。
「どうしたのかしら」
「戦争がなければ世界は腐敗を続け。ここまで緊張はしなかった」
「どうですかね」
アズラエルも彼には否定的であった。
「戦争があっても腐敗するものはしますよ」
「問題のある奴も出て来る」
京四郎はこう述べた。
「三輪の奴もそうだったな」
「まだ言うのだな」
「貴方のお考えには全く賛成できませんので」
「その通りだ」
こう返すアズラエルと京四
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