第六章 贖罪の炎赤石
第五話 天駆ける赤き猟犬
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……四十秒が経過。
遂に敵の攻撃が竜の翼に当たり、竜の速度が目に見えて遅くなった。
一人取り残されるようになった竜騎士めがけ、雪崩のように魔法が、ブレスが放たれる。
誰もがやられた……そう思った瞬間。
「赤原を往け、緋の猟犬!」
天空を赤が駆けた。
竜騎士に襲い掛かる魔法を一瞬で消し飛ばした赤い閃光は、赤い残光を残しながら竜騎士の群れに噛み付いた。まるで柔らかな肉を咬み切るように、赤い閃光が竜騎士の群れを切り裂く。赤い閃光の前を遮るものは、何の停滞もなく切り裂かれ、貫かれた。次々に落ちていく味方の姿に、アルビオンの竜騎士が恐慌状態に落ち入る。少しでも赤い閃光から逃げようとデタラメに動き出す姿には、天下無双と歌われた面影が全く見えない。
気付いているだろうかアルビオンの竜騎士たちは?
赤い閃光の速度は、まさに光のごとしであり。本当なら逃げることも避けることも不可能であることに。それなのに自分たちが未だに落とされていないという事実を。
赤い閃光に追われ逃げる自分たちの姿が、まるで牧羊犬に追い立てられる羊のようであると。
牧羊犬に追われた羊の先には檻があるが……自分たちには何が待っているのかと……。
士郎の視線の先で、百を超える竜騎士たちが一固まりになって空を飛んでいる。
緋の猟犬《フルンディング》をその窮屈な群れに向かわせ、その中心に至ったのを確認すると、
「壊れた幻想」
爆発が起こった。
それはルイズのエクスプロージョンを彷彿とさせる威力があった。
まるで虫のようにぼたぼたと落ちていく竜騎士たちの姿を確認した士郎は、ルイズを持ち上げ操縦席に座りなおす。
「さて行くか」
「……シロウだけで艦隊倒せるんじゃない?」
「…………」
膝の上に座ったルイズが、どことなく平淡な声で呟いた言葉を無視すると、士郎はフットペダルを踏み速度を上げた。
アルビオンの竜騎士隊を倒してから、かなりの時間が過ぎると、士郎たちの前に、港が見えてきた。切り開かれた広い丘の上に出来た港……『ダータルネス』の港が。
「ここからはルイズの仕事だ」
「上昇して」
ルイズの言葉に士郎がゼロ戦を上昇させる。
速度が落ち、ルイズでも風防から出ても大丈夫になると、ルイズは立ち上がり風防を開けた。
士郎はルイズの足を掴み支える。
士郎の手により、安定感を増したルイズは、始祖の祈祷書を片手に呪文を詠唱し始めた。
その呪文とは……。
術者の心に思い描いたものを作り出す呪文。
例えそれが空であったとしても、思い描ければ作り出せるもの。
それは幻影。
『イリュ
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