アインクラッド編
回想――別れ
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ディアベルは事前に〈刀スキル〉の存在を知らなかったせいで、死んでしまった。
第2層ボス戦では、ベータテスト期間では存在しなかった新たなボスによってアスカと共に一度は死の淵に陥った。
他にも多くのプレイヤーが情報不足で死んでいく様を見てきた。
そのことを同じ攻略組として一番近くで見てきていたはずなのに、同じ失敗を繰り返そうとしていたのだ。
彼らを糾弾する権利など・・・・・・あるわけもない。
「・・・・わたしの、わたしのせいだ」
ポツリ、と呟く。
「違う、わたしだ。悪いのはダッカー達じゃない。ちゃんと・・・・情報を教えていたら・・・・・・わたしが・・・・そしたら・・・・」
支離滅裂な言葉を呟く。
震えた声が響き、それに応えるようにケイタやサチが口を開いた。
「いや、キリトが悪い訳じゃないよ。僕らだって、ちゃんと情報を調べなかったんだ」
「キリトは1人で私達を助けてくれたんだよ? そんなに自分を責めなくてもいいよ」
そうだよ、とササマル、ダッカー、テツオも、キリトへと口々に慰めの言葉をかけてくれる。
嬉しかった。彼らの優しさが。
同時に、またしても彼らの優しさにすがっている自分に失望した。
彼らを死に陥らせそうになったのは、自分だ、と暗い声が脳内に響く。
しかし、キリトがそれ以上自分を責める言葉を言う機会はなかった。
せっかくギルドホームが買えた日にこれ以上場の雰囲気を悪くするべきではないことぐらい、全員が理解していた。
少し無理矢理だったが、テンションを上げたダッカーやササマルが暗い雰囲気を打ち消した。それに全員が乗っかる。
ケイタやテツオがツッコミを入れながら、全員で宿屋を出てギルドホームへと向かった。
キリトも一旦自分の感情を心の内にしまい、一番後ろで足を進めた。
多少ぎこちなかったものの、ギルドホーム購入お祝いパーティーは上手くいった。
宿屋を出た当初は会話も少なかったが、やはり新居を購入できたことはギルメンのみならずキリトも嬉しかったからだろう。ギルドホームに入った途端、全員が破顔した。
今日はこちらが出す、と言って聞かなかったので、キリトはご馳走される側だった。
普通はお祝いする側の自分が奢るべきだろう、と考えていたが、サチ達の勢いに押されて諦めた。
いつもより数段テンションの高いダッカーやササマルに、めずらしくノリ良く合わせたテツオとケイタ達男性陣を見てサチと2人で呆れながらも笑い、楽しんだ。
本当に心の底から楽しい、と思った。
同時にキリトは〈月夜の黒猫団〉5人の笑っている姿を見て、ある1つの決心をしていた。
〈月夜の黒猫団〉の新居として構えられた物件は2階建てだ。1階にリビングなどがあり、2階には各人の
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