GGO編
百十二話 待つ者
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「“殺人事件”ではないよ。少なくとも現時点では……それが、僕とキリト君達三人で話し合って出した結論なんだ」
「ン……だと……?」
勢いをそがれたように、クラインの言葉が止まる。たたみかけるように、クラインは続けた。
「だって考えてみてほしい。どうやって殺すんだ?ナーヴギアならともかく、彼らや君達が今使っているのはアミュスフィアだ。それを最もよく分かっているのは君たちだろう?あらゆるセーフティを掛けてあるアミュスフィアでは、本人の体には髪の毛一本だって破壊出来はしない。まして、機械そのものとリンクしている訳ではない心臓だけを止めるなど、ナーヴギアにだって出来はしない。結論を言えば、ネットから現実に居るプレイヤーに心不全を起こさせるなんて、どう考えたって不可能なんだ」
あくまで冷静な声で言ったクリスハイトに、クラインが唸りながらスツールに戻った。次に静寂を破ったのはリーファだ。
「菊岡さん、でもそれなら、どうしてお兄ちゃんにGGOに行く依頼を頼んだんですか?」
言いながらクラインと同じく立ち上がったリーファは、少しだけクリスハイトに詰め寄る。
「貴方も感じているんでしょう?死銃と言うプレイヤーには、他とは違う、何か、恐ろしい何かがあるって」
「…………」
リーファの問いに対してクリスハイトが返した答えは、黙すことだった。答えないクリスハイトに、アスナは自分たち以外は知りようの無いカードを切る。
「クリスさん、死銃は、私達と同じSAO生還者よ。それも、最悪と言われた殺人ギルド、ラフィン・コフィンの元メンバーだわ」
「なっ……」
さしものクリスハイトも、これには驚いたようだった。肩をピクリと振るわせ、一瞬目を大きく見開いたかと思うと、すぐに細めて秘めやかな声でかえす。
「なぜそんな……いや……確かかい?それは」
「えぇ。名前までは思い出せないけど、死銃はそのメンバーしか知りえない事を、明らかに意図的に言ってたわ。私とクラインは、ラフコフ討伐戦にも参加してる。……つまり、死銃がゲームの中で人を殺すのは、今回が初めてじゃないのよ。これでもまだ、全てが偶然だって言い張るつもり?」
アスナの言葉に少し考えた後、クリスハイトは真剣な顔でこう返してきた。
「言い張るつもりも何も、そう言うしかないんだよ。何故ならアスナ君、きみの主張を認めようと思うと、僕たちはこう考えなくちゃならない。超能力や呪いの類が実在して、死銃はそのパワーを使って人を殺してるんだ!と……それはあまりにも……何と言うか、非現実的だよ」
「……それは……」
即座に返答することは出来なかった。そこに、リズの言葉が割り込む。
「え、ねぇアスナ、クリスハイトって、SAOの事知ってるの?なんかリアルではネットワーク関係の部
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