After days
summer
訳ありのバカンス
[5/5]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
最新のスタビライザーにより、離着陸の震動も少ない。
離陸から30分、早朝の集合だったからか、乗員の大半は既にスヤスヤと寝ている。
「お前ら、もうちょっと感動しようぜ?」
そんな彼らを苦笑混じりに眺めながら朝食のおにぎりをかじる。
ちなみに、あれから来たのは海斗、夏希、レオン。保護者役でエギル(長いためPNで勘弁されたし)だ。
空の旅は3時間弱。昼は向こうで食べることになるだろう。
室内は冷房が適度に効いていて快適だが、長袖でいるのは少し暑い。それにも関わらず、螢は薄手の長袖を着ていた。理由は至極簡単。左腕部の関節の少し上。肉体と義肢を接続する金属リングが人工皮膚の上に露出しているからだ。現行の技術ではそれが精一杯。無理に隠そうとしても、そこだけが盛り上がってしまうのだ。
正直、海へ行くのも躊躇われた。行けば、隠すことは困難を極める。今回のメンバーで義肢のことを知っているのは和人だけ。それでも、彼に明かしたのは事情があってのことである。
見せたくない理由は、見たときに皆の目に浮かぶだろう同情の光を見たくないからだ。
この腕に関することであれこれ気を使われるのは好む所ではない。優しすぎる彼らのことだ。見ればそうなることは想像に難くない。
窓から外を見る。
雲の上の世界。アルヴヘイムで散々見慣れている光景ではあるが、絵のディティールではやはり、本物に分がある。
「まぁ、何とかなるか……」
蒼空の先にある深い青を眺めながら、螢は目を閉じた。
________________________________
―――緊急報告。
外部からの干渉により、カヴァリーのメイン制御システム《Mammal》に軽微の異常を感知。
自己修復を実行、これを解決。
システムスキャン、損傷・ウイルスの潜伏問題なし。
幕僚長協議の結果、演習は予定通り敢行。ただし、念のためホークス情報戦部隊を新たに召集。
情報戦部隊の指揮権は第三師団副官・藍原智代に委譲。
なお、本件の打診は山東家の進言であることを付記する。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ