After days
summer
訳ありのバカンス
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事実なので、皆の顔に浮かんだのは軽い戸惑いだけだった。
「気が向いたら随時連絡してくれ。ちなみに、費用は向こうで出してくれるから実質タダだ」
タダ、という言葉に反応した数名の将来に多少の不安を覚えたレイであった。
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―――出発前日。
水城家の食卓には珍しく家族全員が揃っていた。
というのも、沙良が明日の合同演習に参加する際に諸々の事情により、現地集合を命じられたからだ。
諸々の事情とは機密らしく、言えないらしい。まあ、日本領海内で演習とはいえ、戦略兵器を運用するのだ。そこら辺の事情だろう。
家族が揃っているとは言ってもそこに団欒が生じる訳ではない。水城家の食事は静けさを重んじるのだ。
それ故、明日からの日程で複数の意味で関係者になる当主が口を開いたのは食器の片付けが終わった後だった。
「沙良」
「何でしょうか?」
「一応、用心しときなさい。螢や蓮も現場にいるとはいえ、立場は一般人と何ら変わらん。もしもの時はお前が中心になって事態を収拾しなければならない」
それは祖父から孫への教え、ではなく当主から家の者への命令。
孫――主に沙良――に激甘なことで定評のある冬馬には滅多にないことだった。
「はい。心得ています」
「ならば良し。今日はもう休みなさい」
最後に冬馬はそう言うと、自室に引き上げて行った。
その稀な光景を見ていた俺の心中は祖父に対しての驚きではなく―――
―――蓮兄、来るのかよ……
その事実に対しての驚きだった。
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早朝、羽田空港。
「おーい。こっちだ」
おのぼりさんみたいにキョロキョロしていた和人を呼び寄せ、だいぶ集まってきたメンバーを見渡す。
俺、沙良、蓮兄は当然一緒に来た。現在居るのは和人、明日奈、直葉、里香、珪子、凛、狼李。
「……ていうか、何人来るんだ?」
「お前が把握してないのかよ!?大丈夫なのか?」
「何が?」
「いや、飛行機の席とか……」
「何だそんなことか」
「そんなことか、って……結構重要じゃないか?」
「問題ない。プライベートジェットだし」
それを聞いた和人以下、7人は唖然としましたとさ。
21世紀も4分の1に達しようとしている今日この頃。ジェット機の騒音も大分軽減され、民間機に至っては
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