第二十二話
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「ちょっと何で梅本とつるんでる訳?」
久しぶりにゲームにログインしてきた山田と尾津に、この1週間にゲーム内であった事を柴田が話していると、次第に2人の機嫌が悪くなっていき、ついに山田が怒り出した。
「僕達がいない間に何があったのかな?」
いつものようにのんびりとした口調だが尾津の目は笑っていない。
「何かって、1週間1人でというのも何だから、チームの募集をかけたら梅ちゃんが入ってきて、結構腕も立つから足を引っ張られなかったからそのまま組んでたんだけど……なんでそこまで怒るんだ?」
2人の放つプレッシャーに圧されて怯える柴田。
「別に……」
そう言って視線を逸らす2人に、やはり梅ちゃんに対して相当のウザく思ってたんだろうなと柴田は納得した。
「それでさ、この1週間で梅ちゃんも結構チームでの動きを覚えてきたし──」
「それが何か?」
山田が冷たい視線を向けてくる。
「いや、あの……前から4人チームにするために、もう1人仲間が増やせないかとか言ってただろう」
「それが彼女なんだ。へぇ〜」
尾津が怖い。ストレートに怒りを表現する山田に比べると圧倒的に怖い。
「う、梅ちゃんもこれまでの俺達に対する態度も反省して謝りたいと言ってたし」
「謝れば良いってものじゃないよね? 随分と不愉快な目にあってきたんだけど」
「だけどさ、年下の女の子がした事だよ。まだ17歳の高校生だって言うわけだし、俺達年上としての度量を見せて許してあげるっていう」
「年下ね……まあ、そういうことにしておいてあげるよ」
何か凄い含みのある表情で言いたい事を飲み込んだ様子の山田に、やはり梅ちゃんの中の人は脂ぎった中年のおっさんで彼はそれを知っているのでは? と思ったが、別にゲームの中だけの付き合いなら中がおっさんでも良いやと割り切るという、梅本が知ったら死にそうな事を考えていた。
チーム控え室──作戦開始前に同じチームに属したプレイヤーのみが集まる控え室──に山田と尾津は2人が居た。
「面白くないな」
「ああ気に入らないな」
部屋の中央に置かれたテーブルの対面に座り、肘を突いて前のめりな体勢で顔を突合せながら不満を漏らす。
「北海道になんて行ってる場合じゃなかった」
「仕方が無いじゃないかしゅ──」
控え室の扉が開いて、柴田が入ってきた。
別に廊下を歩いて来て実際に扉を開ける過程があった訳じゃなく、メインメニューウィンドウの【移動】から【チーム控え室】を選択して来ただけなのでいきなり部屋の中に現れればいいものを芸が細かかった。
柴田に次いで梅本が姿を現すと、山田と尾津の顔が更に不機嫌そうになる。
そんな険悪そうな空気に一瞬怯みながらも、梅本は柴田の横に立つと縋るような目で彼を見る。柴田がそれに応えて小さく頷くと安心した
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