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SAO編−白百合の刃−
SAO31-スズナの涙
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は、きっと無駄なことでも悪いことでもなく、必ず実るものだと私は信じたい。
 そう思うと難しそうで簡単、簡単で難しそうで、複雑で単純で、単純で複雑な関係なんだね、家族というものは。母さんも父さんも、私のことを知ろうと試行錯誤していたのかな……?
 帰ったらそういう話を聞こう。
 作業していたドウセツのキーボードを打ちこむ手が止まって、こちらに寄るようにと招いた。私はスズナを抱えて近くによると、巨大な画面に小さなOKと言う窓が出現していた。

「ドウセツお母様……これは……?」
「エンターキーをクリックすれば、スズナはシステムから切り離しコアプログラムを圧縮してオブジェクト化する。この世界では人間のような形にはできないけども、少なくとも消去という形ではなくなるわ。どっちにしろお別れは変わりないけど、消されるよりはマシになったわ」
「すごっ。え、ど、どうやったの?」
「貴女なら、察しはつくと思うけど?」
「えっと…………GMアカウントで……システムに割り込んだ、とか?」
 
 そう言うとドウセツは頷いた。
 そっか……これで本当に私達のスズナになるんだね。
 それじゃあ、後は……。

「スズナ」
「は、はい」

 ドウセツはスズナを見て話をした。

「貴女が消滅する方法は回避される。でも、それを望むのか消滅したいのかは貴女の口から言いなさい。
「わたしは……」
「スズナ、システムだからっていうのはなしで、自分勝手に言えばいいと思うよ」

 私がスズナを消滅したくないって言ったように、スズナも自分勝手に、後のことなど考えなないで、今をどうしたいかを私達は聞きたい。
 抱きしめていたスズナを離して、ドウセツのもとに寄ってスズナを見守った。

「わ、わたしは…………」

 スズナは震えていた。

「ボツとなってしまった、旧データの、AIなんです。ユイの監視がなくなった今、存在する意味、がありません…………意味はありま、せん……ですが……っ」

 なんとか平然な顔にしようと堪えているが我慢できずに崩れていき、ポロ、ポロっと、目にいっぱいに溜め、溢れる涙が落ちる。

「わたしっ……こんなんでも、一緒に……いたい、ですっ。消えたく、ない。消えたくなんか……ないですっ。お別れ、なんて嫌ですっ……ドウ、セツ、お母様と、キリカ、お母様と、一緒に……一緒に、生きていたいですっ! 助けて、ください…………助けて、ください……っ! 消えたくないです!」

 その想いを出すように叫んだスズナを、私は優しく包み込むように抱きしめた。

「そうならもっと早くいいなさいよ……」
「ごめんなさいっ……」
「謝らなくていいよ、別に怒っているんじゃないから」

 スズナはAIで人間ではないけど、私達の可愛い自慢の娘。
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