SAO編−白百合の刃−
SAO31-スズナの涙
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」
「スズナが私達のことをお母様お父様って呼んでもいいって言ったじゃんか。そこの責任はちゃんととってよね」
「でも……」
「でもはなし。あんまり否定し続けるとママ怒っちゃうぞ」
「さっきまでお父様だったのに、お母様と訂正されて浮かれているんじゃないわよ」
「ドウセツはさっさと作業終わらせて!」
まったく、茶々入れる余裕があるなら気の利いた言葉でもないのかしらね。
仕方ないから私が変わりにスズナに気の利いた言葉でも送るわね。本当に気の利いた言葉であるようには努力したいなぁ……。
「スズナがどう思っているのはわからない。私だって、ドウセツのこと知らないところもあるし、わからないこともたくさんある。家族だって、いろいろとわからないことだってあるし、何かを隠すことだってある。そういうの全部知っていて共感し合えばいいと思うんだけど、上手くいかないことはたくさんあると思うんだ」
誰にだって嘘はつくし、誰にだって隠したいことはある。そして誰かに見られたくないものだってある。でも、それで良くも悪くも人は影響を受けてしまう。私が素直に言えないことを伝えることができたら何かしら変わっていたんだ。例えば自分の気持ちを家族に話していれば、妹と仲良くなっていかもしれないし、お母さんとお父さんに対して、反抗的な態度で接することはなかったと思う。兄のことをわかっていれば、兄を苦しませない選択だってあったはずだ。ユイも救えた、『月夜の黒猫団』が壊滅することもなかったはずだ。
ドウセツのことも知らないことがたくさんある。家族のこと、過去のこと、好きなものや好きな色など些細なことを私はまだ知らない。
それと同じように、スズナがどう思っているのは正直わからないんだ。消えたいのか、それとも本当は助けてほしいという願いを殺しているかもしれない。
全部私の勝手な想像。助けてほしいなんて、私が勝手に思っているだけなんだ。
でも、それはスズナのことを知らないから勝手に思ってしまうんだ。
だから…………私は言うよ。
「自分達の娘が平然として消える発言を聞いて、はい、そうですかって、素直に聞ける程私はお利口ではないよ。スズナがどう思っても私はスズナが消えることは許さないつもりでいる。だって消えてほしくないから」
「っ!」
「いっぱいスズナのことを知りたい。まだスズナのこと知らないのに、知りたいのに勝手に消えないでよ」
「キリカお母様……」
スズナの声が震えてながら私の名前を口にした。
ごめんね、スズナ。わがままで勝手な母親で……嫌いになるんだろうな。
それでもいいと思う。いや、嫌われるのって良くないことなんだけど……でも、今はそんなんでも良いはずなんだ。悪くても、相手の気持ちを考えなくても、なんとかして気持ちを知ろうとする努力
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