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SAO編−白百合の刃−
SAO31-スズナの涙
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しようもできなかったのも事実となってしまう。メンタルを思うように操作して安定させるのなんて、簡単にできることじゃないし、スズナの話を聞いたからって、精神を安定することは無理なんだろう。

「……そんなある日のこと、ユイの状態を異変が起きました」

 スズナは話続ける。乏しい感情ながらも精一杯に話していく。

「ユイはカーディナルの指示通りに全プレイヤーをモニタリングしているはずなのですが、二名だけ長く見ていたのです。それがキリト様とアスナ様でした」
「ユイが兄とアスナを見てた? なんで?」
「残念ながら、それはわたしにもわかりません。ただ、ユイはキリト様とアスナ様を注目していたことは確かでした。本来ならあり得ないことなんです」

 その変に関してはユイ本人に訊ねるしかないか。でも、壊れかけていたユイにとって兄とアスナは希望だったのではないかと考えられる。AIでも惹きつけられる何かを……壊れかけていたからこそ、何かを感じたかもしれない。

「わたしはそんなユイに疑問を持ちつつもいつも通りに歌でケアをしつつ見守りました。ユイはキリト様とアスナ様の二人様を見続けていたかと思えば、位置に二人のクラスプレイヤーホームから一番近いシステムコンソールで実体化し始め、さまよっていたのです」

 そうか。それがあの二十二層の森、幽霊の噂を聞くようになった原因でもあったんだ。

「戻って来ないユイを連れ戻すために、わたしも同じように実体化しましたが…………わたしもユイと同様にエラーを蓄積させ、壊れかけていた影響により、自分という存在が何かわからなくなっていました」
「それはユイも同じなの?」
「そうですね。振り返ってみれば、ユイが自分の役割をわかっていなかったようなので、わたしと同様に記憶という物を失っていたんだと思われます。そして先ほどユイは記憶を取り戻し、自分がAIであることを思い出しました」
「そんなことわかるの?」
「…………」

 ドウセツの問いにスズナは黙り始めてしまった。
 様子がおかしかったのは前からだ。いや、違うな。自分のことを思い出したスズナは乏しい感情ながらも悲しくて涙は出てないが泣いているようにも見えた。
 
「スズナ、大丈夫?」

 ドウセツは心配そうに名前を呼ぶ。

「スズナ、疲れちゃった? 休む?」

 私もスズナに声をかける。返事はしなかったが、スズナは首を左右に振った。
 なんだろう……今のスズナを見て、違和感があって何か引っかかる。今のスズナを私はどこかで見たような気がする。
 乏しい表情ながらも、スズナの顔は躊躇っているようにも見えるし、悲しんでいるようにも見える。とてもじゃないが、大丈夫とは思えなかった。
 …………そうか、わかった。そして違和感と引っかかる何かの正体を判
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